2023/04/09

市原・市原歴史博物館

2022年11月にオープンした市原歴史博物館(I’Museum)に行って来ました。

20230409「東京湾と養老川が織りなす市原の歴史への旅」をテーマに、旧石器時代から近現代まで、市原3万5千年の軌跡をたどる展示となっています。

常設展示では、能満上小貝塚のイノシシ型土器(県文化財)、 山倉1号古墳の埴輪群(県文化財)、 人面付土器(市文化財)、「王賜」銘鉄剣(市文化財)など、古代の歴史資料が特に見応えがありました。

民俗展示では、養老川域の生活と行事を紹介。江戸期に河川と東京湾を往来した「五大力船」について、大スクリーン映像でよく理解できます。

この施設は、もともと市の埋蔵文化財調査センターでした。所蔵する遺物をより親しみやすい形で一般公開し、体験型展示を通じて市民とともに地域の歴史を後世に伝えるコンセプトが素晴らしく感じました。

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2022/11/06

企画展示「おはまおり」展

千葉県立中央博物館で開催中の企画展示「おはまおり」展に行ってきました。

20221106

海や川に囲まれた千葉県を特徴づける習俗の「お浜降り」を通じて、海に育まれた房総の文化を再発見する試みです。

展示は「海に現れる神々の物語」「武神と海の信仰」「民衆の海への祈り」「泥のまつり」の4テーマに分け、19の祭礼(東葛1・千葉3・印旛北総4・東総九十九里2・外房2・内房2・南房総5)を取り上げています。

各祭礼は、詳しい解説と写真、祭礼用具や神輿などで丁寧に紹介され、海とともに生きる房総の人々の暮らしと民俗を一堂に俯瞰できる好企画です。

今回の展示には、県内の祭礼愛好家の個人・団体が協力。当サイトも祭礼写真を何枚か提供しています。

この日は関連行事の「おはまおりセミナー2022」も開催。1講「白間津オオマチは浜降りの祭りなのか」(成城大学・俵木悟氏)、2講「常陸国金砂大小祭礼について」(NPO美和の森・石井聖子氏)、3講「和歌山県沿岸部の祭礼とお浜降り」(和歌山県立紀伊風土記の丘・蘇理剛志氏)と、パネルディスカッションが行われました。

1講では、関西の風流踊りの系譜ながら地域性を取り入れて独自に変化した珍しい形態であることを再確認。2講と3講では、茨城(磯出)と和歌山(汐かけ)との比較が紹介され、特に房総と紀州では(関係深いにもかかわらず)随分と習俗が異なるなど(複数神社の神輿が集まって「汐かけ」することはない)、とても勉強になりました。

パネルディスカッションでは、大原はだか祭り(いすみ)、寒川神社のお浜降り(千葉)、上総十二社まつり(一宮)に出祭している関係者さんが登壇。それぞれ現況と問題、解決策などについて熱く語りました。パネラーの地域特性と年代層の選定が絶妙で、地域の祭礼が抱える問題点と、持続可能で実効性のある方策について改めて考えさせられました。

この企画展は、来年1月9日(祝)まで開催中です。

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2021/04/09

市川・旧浅子神輿店

市川・行徳の旧浅子神輿店(現・行徳ふれあい伝承館)を訪ねました。

20210409浅子神輿店は、室町末期に仏師・浅子周慶(初代)が創業。あの仏師・運慶の流れを汲むとされ、当主は代々「浅子周慶」を襲名して神仏具の製作を家業としました。

江戸期、行徳は塩作りで繁栄しました。街道筋に寺社が建ち並び、宮大工が多く住んだことから、神輿造りが盛んになりました。
浅子家も高い技術を活かして神輿の製作を始め、明治期には東京府の名工に名を連ねています。

行徳の後藤直光(旧後藤仏具店)・浅子周慶(旧浅子神輿店)・中台祐信(中台製作所)が作る神輿は、「行徳大唐破風型」として全国に知られました。

浅子神輿店は、平成19年に十六代浅子周慶(鈴木美子氏)を最後に、惜しまれながら廃業。現在、行徳神輿の伝統を継ぐのは中台製作所のみになりました。
街道沿いに残る旧浅子神輿店の店舗兼主屋(国登録文化財)と作工場跡は、市の「行徳ふれあい伝承館」として整備され、行徳の神輿造りの歴史を今に伝えています(写真は、手前が十五代周慶、奥が十六代周慶の神輿)。

神輿造りには、木の選別・加工・彫り、飾り金具の製作、漆塗り、金箔押しを経て組み立てる工程に、木地師・彫り師・錺職人・塗り師など大勢の職人が携わります。ボランティアさんの説明を聞きながら、往時の職人たちの活気が伝わってくるようでした。

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2021/02/27

市川・中山のおひなまつり

妻と一緒に、散歩がてら市川・中山法華経寺へ出かけました。

20210227この時期、中山地区では「中山のおひなまつり」を開催中。JR下総中山駅から参道沿いの店々、法華経寺、奥之院、若宮まで華やかに彩られます。

参道では、店ごとに大小さまざまなお雛さまを飾っています。本格的な七段飾りから、古い由緒ありそうなもの、手作りのものまで、それぞれに特徴があり可愛かったです(写真は安房神社にて中山町会の飾り付け)。

参道から赤門(仁王門)をくぐり、法華経寺へ。鎌倉期に日蓮上人が下総若宮領主・富木常忍と中山領主・太田乗明に迎えられ、法華堂を建てたのが始まりです。
小松原の法難(1264)では、鬼子母神が現れて日蓮上人を救ったとされ、境内の「中山の鬼子母神」は江戸三大鬼子母神の一つです。

鬼子母神は、自分の子を養うために人間の子を捕まえて食べる「悪鬼」でした。懲らしめに釈迦が鬼子母神の子を隠すと、子を失った親の苦しみを思い知って悔い改め、子育て・安産の守護神になりました。

鬼子母神堂にも七段飾りのお雛さまや園児・小学生が作った吊るし雛が飾られ、心が和みました。

赤門の河津桜は満開で、春はもうすぐそこに。久々に7000歩以上歩いて、長い自粛生活の気分転換と運動不足解消になりました。

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2020/11/08

企画展「松戸と徳川将軍の御鹿狩」

松戸市立博物館で開催中の企画展「松戸と徳川将軍の御鹿狩」に行ってきました。

20201108この企画展は、江戸期、小金牧で4回行われた徳川将軍の御鹿狩(享保の御鹿狩2回・八代吉宗)、寛政の御鹿狩・十一代家斉、嘉永の御鹿狩・十二代家慶)を、古文書や絵図、武具、当時の馬や鹿・猪のはく製などで紹介しています

松戸市の東部は、江戸期、小金牧(幕府の馬の放牧場)の一部でした。害獣(鹿・猪など)による農作物被害が多くなると、害獣駆除のため軍事訓練を兼ねた「御鹿狩(おししがり)」が行われました。
江戸城を発った将軍は、御座舟で松戸宿に入り、富士山に見立てた御立場から、旗本や牧士・農民勢子の動きを総覧しました。

これら4回の御鹿狩で使われた御立場は、現在の松飛台付近にありました。戦前まで「猪見塚(ししみつか)」の名で残っていましたが、昭和10年代に旧松戸陸軍飛行場の造成に伴って完全に撤去されました。

この企画展は、11月15日(日)まで開催しています。

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2020/10/31

菱川師宣記念館「新収蔵品展」

妻と一緒に、菱川師宣記念館(鋸南町)で開催中の「新収蔵品展」に行ってきました。

20201031この企画展では、地元の旧家から寄贈された父・菱川吉左衛門の刺繍画「柿本人麻呂像」と師宣の「昇り龍図」を同時公開しています。

江戸中期、浮世絵本の上部に文章を入れる形式を考案した師宣ですが、晩年はもっぱら肉筆浮世絵に専念し、名作「見返り美人」を生み出しました。師宣の描く女性は色鮮やかな小袖姿で、その凝った衣装の描写は、縫箔師だった父の影響と考えられています。
その吉左衛門の刺繍画は、刺繍とは思えない衣装の表現ぶりが見事でした。

他に、師宣の長男・友房の「風俗絵巻」など、師宣の作風を継いだ肉筆画も展示されています。

感染症拡大に伴う移動自粛が続いた影響で、南房総に遠征したのは8か月ぶりでした。帰りは道の駅「保田小学校」で地場産品を買い求め、明鐘岬の「岬カフェ」に立ち寄って帰宅しました。

「新収蔵品展」は、11月1日(日)まで開催しています。

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2020/10/03

企画展示「千葉のまつり」

千葉県立房総のむら(栄町)で開催中の屋外企画展示「千葉のまつり」に行ってきました。

20201003県内の上総・下総・安房の三地域から、各地域の特色を伝える祭りとして、上総の「市原の柳盾神事」、下総の「山倉の鮭祭り」、安房の「白間津のオオマチ」を取り上げています。

展示は、装束・用具と解説パネル、それに映像です。もとは展示と実演で紹介する予定が、感染症拡大の影響で、実演に代わり映像に変更された経緯があるようです。

実演がなくなったのは残念ですが、コロナ禍で県内の祭礼がほぼ中止の現況で、この企画を実現してくれたことに感謝です。 これら3つの祭礼は過去に取材したことがあり、当時の撮影行を懐かしく思い出しつつ、時の流れによる変貌の様子がよく分かりました。

この他、トピック展示「疫病退散を祈る祭り」として、市川で行われた大杉祭と栄町のオダチ行事の展示もあります。詳しい展示解説書(カラー13頁)も無料で用意され、貴重な資料になりました。

同時開催のウォークラリー「千葉のまつり展示めぐり双六」は、場内4か所の高札を巡って完成させると記念品がもらえます。各高札には「吾妻神社の馬だし祭り」「上総十二社祭り」「佐原の山車行事」「下総三山の七年祭り」の簡単な紹介がありました。

この企画展示は、10月3日~11月23日まで開催しています。

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2020/07/11

成田・新勝寺の祇園会

梅雨の晴れ間、妻と一緒に成田山新勝寺で行われている祇園会に行ってきました。

20200711奥之院・大日如来さま(不動明王の本地仏)の祭礼で、期間中(7/7~12)、奥之院の特別開扉と天国宝剣(あまくにのほうけん)加持が行われます。

奥之院の特別開扉は、感染症拡大予防のため間隔をあけて並び、マスク着用、アルコール消毒を受け、1組ずつ洞窟内に入って参拝。内部は正面から右側道への一方通行で、通路の大型扇風機で換気にも配慮されていました。

続いて光明堂で天国宝剣加持を受けます。開山時に寛朝大僧正が朱雀帝から賜ったとされる剣は、「此の宝剣を拝する時は、乱心狂気もたちどころに止み、熱病寒疾も速やかに癒え、諸々の魔障を除き、息災成就を得る」と伝わり、僧が参拝者の身体に当てて祈祷します。こちらは、体温チェックとアルコール消毒を受け、3人ずつ大日如来さまの前に進み、立拝のまま加持を受けました。

例年なら期間中の土日に門前9町から人形山車・屋台10台が出て盛大に「成田祇園祭」が催行されますが、今年は神振行事はすべて中止。神輿は飾り置き、境内は人もまばらで静かな祇園会となりました。

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2020/02/08

匝瑳・時曽根の大蛇まつり

匝瑳市の時曽根地区で行われた「時曽根の大蛇まつり」を見学。

20200208豊栄地区時曽根では、毎年2月8日、古くから伝わる大蛇まつりが行われます。

朝、時曽根コミュニティセンターに各戸から藁を持ち寄り、長さ3m・太さ30cmほどの大蛇を3匹作ります。できあがった大蛇は、庭の槇の木に巻き付け、千手院の護符を口に挿し、御神酒を飲ませて魂入れの後、ムラ境3か所の樹上に吊るします。区内安全、無病息災、五穀豊穣、悪魔退散を祈願します。

ムラ境に道祖神と同じ性格を持つ蛇神を祀り、ムラに災いが入るのを一年間防ぐことを願う「辻切り」習俗の一つです。

【この日の進行スケジュール】
8:00~ 藁を持って集まり始める
9:00~10:30ころ 藁蛇作り
14:15~ 護符・魂入れ
14:30~ ムラ境に吊るす(北・東・西)
15:00ころ 片づけて終了

【メモ】
藁蛇は、下あご、上あご、胴体の順に作る。時曽根では、眼や舌も藁を編んで作る。昼食休憩の後、米倉の千手院(西光寺の末寺)から頂いた護符を榊葉の枝で挿し、一升瓶で盛大に御神酒を飲ませて魂を入れる。3組に分かれて北・東・西のムラ境に運び、樹上に結び付けて吊るす。古い藁蛇はその場で焼き、煙にして天に戻す。時曽根では地区の若者により受け継がれている。
見学者は3人、駐車場なし(周辺にスペースあり)。忙しい中、詳しく教えていただいた区長さん、地区の皆さん、ありがとうございました。

※詳細記事は、本宅サイト「ぐるり房総」に掲載しています。

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2020/01/26

房総の郷土芸能2019

香取市の佐原文化会館で行われた「房総の郷土芸能2019」を見に行ってきました。

20200126参加団体は、おらんだ楽隊(香取市)、文違麦つき踊(八街市)、久能獅子舞(富里市)、中沢麦つき踊り(同)、伊能歌舞伎(成田市)、北辺田獅子舞(栄町)、佐原囃子(香取市)の7団体でした。

今回は印旛・香取地域の伝統芸能がテーマです。
おらんだ楽隊は、客席通路からステージに練り込む演出で、観客と一体感があって盛り上がりました。伊能歌舞伎は、子供たちが「白浪五人男~稲瀬川の場~」を熱演。佐原囃子は、佐原の大祭で奏でる曲々を披露して、女衆の手踊りが華を添えました。
個人的には、以前から気になっていた文違麦つき踊(八街市)を見ることができて良かったです。

ステージ公演なので音録りと、初投入のZ50+Z DX16-50/3.5-6.3、Z DX50-250/4.5-6.3で200コマほど撮影。ミラーレスで民俗芸能を撮ると、動きの激しい被写体で微妙なタイムラグ(EVFとかシャッターとか)が気になります。三匹獅子など舞・踊り系の民俗芸能はDf、それ以外の民俗芸能はZ50と使い分けるのが良さそうです。

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