千葉県立中央博物館で開催中の企画展示「おはまおり」展に行ってきました。
海や川に囲まれた千葉県を特徴づける習俗の「お浜降り」を通じて、海に育まれた房総の文化を再発見する試みです。
展示は「海に現れる神々の物語」「武神と海の信仰」「民衆の海への祈り」「泥のまつり」の4テーマに分け、19の祭礼(東葛1・千葉3・印旛北総4・東総九十九里2・外房2・内房2・南房総5)を取り上げています。
各祭礼は、詳しい解説と写真、祭礼用具や神輿などで丁寧に紹介され、海とともに生きる房総の人々の暮らしと民俗を一堂に俯瞰できる好企画です。
今回の展示には、県内の祭礼愛好家の個人・団体が協力。当サイトも祭礼写真を何枚か提供しています。
この日は関連行事の「おはまおりセミナー2022」も開催。1講「白間津オオマチは浜降りの祭りなのか」(成城大学・俵木悟氏)、2講「常陸国金砂大小祭礼について」(NPO美和の森・石井聖子氏)、3講「和歌山県沿岸部の祭礼とお浜降り」(和歌山県立紀伊風土記の丘・蘇理剛志氏)と、パネルディスカッションが行われました。
1講では、関西の風流踊りの系譜ながら地域性を取り入れて独自に変化した珍しい形態であることを再確認。2講と3講では、茨城(磯出)と和歌山(汐かけ)との比較が紹介され、特に房総と紀州では(関係深いにもかかわらず)随分と習俗が異なるなど(複数神社の神輿が集まって「汐かけ」することはない)、とても勉強になりました。
パネルディスカッションでは、大原はだか祭り(いすみ)、寒川神社のお浜降り(千葉)、上総十二社まつり(一宮)に出祭している関係者さんが登壇。それぞれ現況と問題、解決策などについて熱く語りました。パネラーの地域特性と年代層の選定が絶妙で、地域の祭礼が抱える問題点と、持続可能で実効性のある方策について改めて考えさせられました。
この企画展は、来年1月9日(祝)まで開催中です。