「出羽三山と袖ケ浦の山岳信仰」展
袖ケ浦市郷土博物館で開催中の「出羽三山と袖ケ浦の山岳信仰」展に行ってきました。
千葉県の上総地域(袖ケ浦、市原、君津)は、江戸期から出羽三山(月山・羽黒山・湯殿山)詣りが盛んで、参詣講や梵天供養塚など信仰の足跡が多く残る地域です。
今回の展示は、担い手不足などで解散した三つの講(下新田・下久保田・下泉)から寄贈された約120点の資料で、袖ケ浦の三山信仰の習俗に迫る企画展です。
出羽三山は、平安末期に修験道の霊場として隆盛を極めました。江戸期になると一般庶民にも登拝が広まります。袖ケ浦では、集落ごとに「八日講」があり、「一生に一度はサンヤマ(三山)に行くもの」とされました。講の代表として代参した人は「行人」と呼ばれ、人々から一目置かれました。
毎月8日に行屋で月並み講を行い、先達が率いて三山に登拝し、集落に戻ると三山供養塔(石碑)を建て、宿坊から授かった腰梵天を埋納する梵天供養(梵天納め)を行いました。行人は亡くなると神になり、特別な葬列で野辺送りした後、行人塚に埋葬されました。
展示は、行屋の祭壇(下新田)や祀られていた大日如来像(下新田、下久保田)・薬師如来と十二神将像(下泉)、行人が使った腰梵天や行衣などを公開。上の写真は、下久保田八日講の烏天狗像です。山を自在に駆け、神通力を使う天狗は山伏の象徴で、憧れの存在でもありました(右奥は三山神像)。
なかなか情報が少ない上総の三山信仰について知る貴重な機会で、展示図録もおすすめです。この企画展は、7月15日(月)まで開催中です。
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