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2024/08/25

小城・村岡総本舗羊羹資料館

小城といえば、特産の「小城羊羹」が有名です。

Dsc_5174_300室町末期〜江戸期、長崎街道は、長崎から江戸に砂糖を運ぶシュガーロードになりました。

街道沿いの地域では、西洋や唐など外来の菓子と在来の文化・風土が融合し、独特の菓子文化が生まれました。

長崎の「カステラ」(ポルトガル伝来)、諫早の「諫早おこし」(藩の余剰米と砂糖で作ったのが始まり)、大村の「へこはずしおこし」(中国伝来)、嬉野の「逸口香」(中国の空心餅が原型)、佐賀の「丸ぼうろ」(ポルトガル菓子の製法が長崎から伝来)、飯塚の「千鳥饅頭」(カステラと丸ぼうろから派生)、北九州の「金平糖」(宣教師が伝来)など、今も愛され続けています。

「小城羊羹」もその一つです。羊羹は中国由来ですが、小城の羊羹作りは、明治五年ころ、森永惣吉が大阪虎屋から製法を習い、「櫻羊羹」の名で売り出したのが始まりとされます。

小城は、水に恵まれ、小豆の産地に近く、砂糖が手に入りやすい上、城下町で茶道文化が残っており、羊羹作りに適した環境でした。日清戦争(明治二十七年)では、長期保存の携行食として小城の羊羹が選ばれ、「羊羹の小城」の名は全国に広まります。

明治三十二年、地元の村岡安吉が長崎から羊羹の製造機械と製法を導入して羊羹作りに参入。大量生産が可能になり、明治~大正期にかけて、小城の羊羹作りは活況を呈しました。村岡安吉は、行商の先々で人々から「小城の羊羹」と呼ばれることに着想を得て、商品名を「小城羊羹」として販路を拡大。現在、「小城羊羹」は小城羊羹協同組合の加盟各社が使う地域団体商標になっています。

羊羹資料館は、村岡総本舗の旧砂糖蔵(昭和16年建築、国登録文化財)を改装したもの。1階では小城羊羹の歴史と製法をVTRで紹介。2階では製造道具や原材料、歴代の包装やラベルを展示しています。見学者には、伝統製法の切り羊羹と抹茶のおもてなしがありました。

小城羊羹は、日本遺産「砂糖文化を広めた長崎街道シュガーロード」の構成文化財に選定されています。

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