« 唐津・肥前唐津城 | トップページ | 知覧・知覧麓の武家屋敷 »

2024/07/31

唐津・旧唐津銀行本店

旧唐津銀行本店は、明治~大正期を代表する建築家・辰野金吾(1854-1919)が監修した洋風建築です。

Dsc_4845辰野は、唐津の下級藩士の家に生まれ、明治維新後、藩の英学寮で若き高橋是清(唐津に英語教師として1年滞在)に学びました。

19歳で上京し、工部省工学寮に入学。英国人建築家コンコルドに学び、首席で卒業。英国に官費留学し、帰国後、30歳で日本人初の建築科教授になります。47歳で教授を辞すと民間設計事務所を開設。日本で初めて「建築家」という職能を確立しました。

教授時代の代表作に日銀本館(1896)が、晩年の代表作に中央停車場(東京駅、1914)があり、日本近代建築の父と呼ばれています。

唐津は、幕末から明治にかけて、杵島炭鉱の石炭積出港として繁栄。旧唐津銀行は、ともに英学寮で学び、後に実業家となった大島小太郎が、明治十八年(1885)、「郷土に根を張る銀行を」と設立しました。

現存する建物は、大島が辰野に建築を依頼。東京駅の設計中だった辰野が監修し、直弟子で清水組(現在の清水建設)にいた田中実が設計しました。

明治四十五年(1912)に完成し、赤レンガと白御影石に塔屋を載せた意匠は、クイーン・アン様式を日本化した「辰野式」と呼ばれるデザイン。

1階に窓口カウンターや金庫、頭取室や応接室があり、2階に貴賓室と待合室、会議室があり、辰野金吾の功績を展示解説しています。

ちなみに、房総では、香取市の旧川崎銀行佐原支店(現・佐原三菱館)が同様のデザインで、こちらも清水組が大正三年(1914)に建築しています。

| |

« 唐津・肥前唐津城 | トップページ | 知覧・知覧麓の武家屋敷 »