天草・今富集落のウマンテラさま
今富集落は、崎津の北隣にある小さな山村です。
禁教期は潜伏キリシタンとして信仰を続け、仏教・神道・修験道と共存した独自の信仰が生まれました。
集落の山々には、聖水汲み場やウマンテラサマ、マルヤマサマと呼ばれる聖地があり、人々は信心具として和鏡、仏像や土人形、石仏にキリスト教的な細工を加えて、祈りを捧げました。
山頂に祀られていた石像「ウマンテラさま」もその一つです。年代・製作者は不明ですが、はっきりした目鼻立ち、総髪と額の前髪、背中の翼、手には剣を持ち、足元では悪魔を踏みつけています。
地元にはバテレンの天使を模した像との伝承があり、15~16世紀のルネッサンス期にヨーロッパで流行した大天使ミカエル像との類似点が指摘されています。
石像「ウマンテラさま」は、崎津教会堂に近い崎津資料館「みなと屋」(旧旅籠「みなと屋」跡)で見ることができます。
今富集落は、明治に禁教が解かれた後は、カトリックに復帰することなく、独自の信仰を続ける「隠れキリシタン」となりました。
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