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2023/09/10

福山・草戸千軒(中世の集落遺跡)

旧三の丸にある広島県立歴史博物館に、川底に埋もれた幻の中世集落「草戸千軒」の痕跡を訪ねました。

20230909b「草戸千軒」は、鎌倉~室町初期まで存在した集落です。江戸期には「洪水で滅びた」との伝承だけが残っていました。

大正末~昭和初期、福山市街を曲流していた芦田川を、治水対策のため現在の流路に付け替えた際、大量の遺物が出土。戦後の発掘調査で「草戸千軒」の存在が確認されました。

集落は、河口に近い三角州にあって、明王院(旧常福寺)の門前に、民家や市場、職人の作事場が軒を連ね、港に通じる掘割を舟が行き交い、商取引を記した木簡や大量の銅銭が出土したことから、瀬戸内の物資の集積地として栄えたと考えられています。

中世の庶民生活の実態を伝える遺跡は少なく、貴重な発見となりました。

遺跡は、現在は芦田川の中州になっており、度重なる河川工事でほぼ失われています。出土した品々や復原集落の様子(室町期、初夏の黄昏時を想定)が、県立歴史博物館で一般公開されています。

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