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2022/04/29

久留米・筑後草野氏と草野界隈

旧日田街道の宿場町として栄えた草野は、平安末期~安土桃山期まで、豪族・筑後草野氏の拠点でした。

20220429草野氏は、平安末期に草野吉木(現・草野町吉木)に入り、山腹に竹井城を築き、麓に町が発展しました。
源平合戦では、源氏に加勢して奮戦し、源頼朝から筑後国守護に任ぜられます。この戦勝御礼で建立したのが「吉木若宮八幡宮」です。

筑後で大きな勢力を誇りましたが、南北朝の動乱では南朝方に付いて事実上の敗北。戦国期には豊後の大友、薩摩の島津、肥前の龍造寺の割拠に翻弄され、拠点を山頂の発心城に移します。

豊臣秀吉が島津討伐のため九州に入ると、草野氏も参加。しかし、戦後の九州仕置(国割)で、秀吉は筑後を小早川秀包に与え、草野氏は領地を大きく削られます。九州諸侯が秀吉に謁見する中、草野氏は謁見に行かなかったとされ、天正十六年(1588)、秀吉は一揆加担の疑いで草野氏を滅ぼしました。

筑後草野氏の歴史は、久留米市草野歴史資料館(旧草野銀行本店、明治43年(1910)建築)で詳しく知ることができます。近隣には、大正3年(1914)建築の久留米市山辺道文化館(旧中野病院)などレトロモダンな建築が残っています。

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2022/04/24

久留米・世界つつじセンター

妻と一緒に、久留米市世界つつじセンターの「春の一般開放」に行ってきました。

20220424aこのセンターは、「久留米つつじ」を中心に、世界各国のつつじ約1600品種21000本を保存育成する財団法人です。毎年、つつじが満開になる時期に一般開放されます。

「久留米つつじ」は、江戸末期、久留米藩士坂本元蔵が、当時流行していた霧島つつじから様々な花色の新品種を作り出したのが始まりです。

久留米のつつじ栽培は、明治維新後一時衰退しましたが、明治中期から再び盛んになり、生産業者が品種改良を手がけました。明治6年(1873)に赤司喜次郎が興した「赤司廣楽園」は、久留米を代表する種苗会社の一つでした。

喜次郎は、坂本の品種を受け継いで「久留米つつじ」と名付け、記録書「久留米躑躅誌」を刊行。喜次郎から苗を買い付けた米国人アーネスト・ヘンリー・ウィルソンは、欧米に久留米つつじを広めました。

耳納連山の新緑をバックに美しく咲き誇るつつじは圧巻。隣接の農業公園で弁当を広げ、草野の古民家カフェ「山帰来」さんに立ち寄って帰りました。

今年の世界つつじセンター「春の一般開放」は、4月8日(金)~4月28日(木)まで行われています。

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2022/04/17

久留米・坂本繁二郎生家

20220417近代洋画の巨匠・坂本繁二郎(1882-1969)は、明治15年、久留米の京町に生まれました。

坂本家は、久留米藩士で百五十石の御馬廻役組でした。
城外の京隈小路の屋敷には、九代目の繁二郎と母親も明治42年(1909)まで住んでいました。

明治43年(1910)、繁二郎は結婚を機に、東京の新居に母を呼び、屋敷を売りに出します。購入したのは、同じ旧藩士の山田家で、山田家は「久留米に残る唯一の武家屋敷」として大切に維持し続け、平成14年(2002)に市へ寄贈しました。

解体調査の結果、江戸後期から明治7年(1874)にかけて三期に別れて建てられたものと判明。生家は、古い部材を活かし、繁二郎が20歳の明治35年(1902)頃の姿に復原され、平成22年から一般公開されています。

繁二郎と同級で親友の青木繁が居候した茶室には、青木が描いた襖絵(複製)も再現されています。

20歳で初めて上京した繁二郎は、二科会の創設に参加。渡仏(39歳~42歳)後は久留米に戻り、八女に永住して87歳で亡くなるまで九州の地で創作活動を続けました。

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2022/04/02

毒薬と老嬢

久留米シティプラザで上演された演劇「毒薬と老嬢」に行ってきました。

20220402ジョセフ・ケッセルリング作のブラックコメディで、1941年からブロードウェイで3年半1444回、翌42年からウエストエンドで3年3か月1337回のロングラン上演された傑作です。

舞台は、第二次世界大戦下のブルックリン。旧家の屋敷に住む仲良し老姉妹アビーとマーサは町で評判の慈善家です。身寄りのないお年寄りに屋敷の部屋を貸し、手厚く施しをする二人。しかし、もてなしで振る舞う自家製の「ぼけ酒」にはある秘密がありました…。

今回の演出は錦織一清さん、主演のアビーを久本雅美さん、マーサを藤原紀香さんが演じています。老姉妹に振り回される人々として、同居の甥テディ(渋谷天笑)、その弟モーティマー(納谷健)と婚約者のエレーン(惣田紗莉渚)、エレーンの母ハーバー牧師(清水ひとみ)、悪い甥ジョナサン(室たつき)とその手下アインシュタイン(丹羽貞仁)、刑事ルーニー(笠原章)と巡査オハラ(嘉島典俊)・プロフィー(我善導)・クライン(鈴木翔音)、施設長ウィザースプーン(川端槇川二)ほかの皆さんが出演(画像は公式チラシ)。

セリフを関西弁にしての上演で、主演の二人のアドリブを交えた掛け合いが面白く、舞台挨拶でも久本雅美さんのギャグが冴え、大爆笑の3時間でした。

アフタートークでは、テディ(渋谷天笑)の司会でハーバー牧師(清水ひとみ)とオハラ巡査(嘉島典俊)が登場。楽しい舞台裏を明かしてこれまた拍手喝采でした。

この演劇は、東京・新橋演舞場→名古屋・御園座→福岡・久留米シティプラザ→札幌・道新ホール→大阪・松竹座で順次公演されています。

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