福岡・国宝「漢委奴国王」金印
福岡市博物館で常設展示されている国宝の「金印」を見に行ってきました。
純金製、大きさ2.3cm×2.3cm、重さ108gの小さな角印で、鈕(つまみ)に蛇があしらわれ、「漢委奴国王」と彫られています。
後漢書にある、建武中元二年(西暦57年)、後漢の光武帝が奴国の朝貢に対して下賜した印とされ、紫色の綬(じゅ)が結んであったようです。
印面は文字が凹で、現在のハンコ(文字が凸)と逆の彫り方になっています。
当時、古代中国では紙が普及する前で、重要な木簡を紐で縛り、交差した紐を封泥(ふうでい)し公印を押しました。日本はまだ弥生時代なので、この金印は、奴国王の権威を示す「権威財」として使われたと考えられます。
九州国立博物館にも金印の「レプリカ」がありますが、本物は福岡市博物館が所蔵しています。
なぜ市の博物館に?と思っていましたが、江戸後期に志賀島で農民が発見し、郡奉行を通して福岡藩に差し出され、明治以降は旧藩主・黒田家に伝わり、昭和53年(1978)に黒田家から福岡市に寄贈された経緯があります。
福岡市博物館は、1金印の世界、2福岡のあけぼの、3奴国の時代、4鴻臚館の時代、5博多綱首の時代、6博多豪商の時代、7福岡藩の時代、8近代都市福岡の時代、9現代の福岡、10福博人生、11山笠の世界のコーナー別に常設展示しています。
地政的に古くから大陸や半島との交流が盛んで独特の文化を育んだ福岡の歴史がよく分かります。特に、鴻臚館(奈良~平安期の外交使節迎賓館)の存在は知らなかったので、後日、福岡城址にある鴻臚館跡展示館を訪れたいと思います。