十二月大歌舞伎
妻と一緒に、歌舞伎座で公演中の「十二月大歌舞伎」を観に行ってきました。
夜の部で、演目は「神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)」と「本朝白雪姫譚話(ほんちょうしらゆきひめものがたり)」でした。
「神霊矢口渡」(67分)は平賀源内の原作。強欲非道の渡し守・頓兵衛(尾上松緑)が褒美欲しさに落ち武者(坂東亀蔵)とその愛人・うてな(中村児太郎)を討とうとするのを、頓兵衛の娘・お舟(中村梅枝)が命を賭して防ぐ悲恋の物語です。後段の頓兵衛とお舟の激しい掛け合いが見せ場で、松緑の憎々しさと梅枝の女形が見事な作品でした。
「本朝白雪姫譚話」(113分)は、グリム童話「白雪姫」を素材にした新作歌舞伎です。実の母・野分の前(中村児太郎)から美しさを妬まれ、いじめられる白雪(坂東玉三郎)。暗殺を命ぜられた家臣・新吾(中村獅童)に命を助けられ、七人の妖精と山中で暮らしますが、老婆に扮した野分の前から毒リンゴを食べさせられ…。おなじみの童話を通じて、人間の欲望と不安、狂気を描いた大胆な作品でした。
歌舞伎座は初めてでしたが、1階席の3列目で花道のそばだったので、演者の生の声や表情を大迫力で感じることができました。イヤホンガイドの解説で場面の展開がよく分かり、楽しめました。ホールで買い求めた「筋書き」も、丸山勉作「令月枝垂梅」の表紙で、令和にちなんだ粋な趣向でした。
難しいイメージがある歌舞伎ですが、意外と分かりやすく、また別の演目を見てみたいと思いました。