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2019/12/23

十二月大歌舞伎

妻と一緒に、歌舞伎座で公演中の「十二月大歌舞伎」を観に行ってきました。

20191223夜の部で、演目は「神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)」と「本朝白雪姫譚話(ほんちょうしらゆきひめものがたり)」でした。

「神霊矢口渡」(67分)は平賀源内の原作。強欲非道の渡し守・頓兵衛(尾上松緑)が褒美欲しさに落ち武者(坂東亀蔵)とその愛人・うてな(中村児太郎)を討とうとするのを、頓兵衛の娘・お舟(中村梅枝)が命を賭して防ぐ悲恋の物語です。後段の頓兵衛とお舟の激しい掛け合いが見せ場で、松緑の憎々しさと梅枝の女形が見事な作品でした。

「本朝白雪姫譚話」(113分)は、グリム童話「白雪姫」を素材にした新作歌舞伎です。実の母・野分の前(中村児太郎)から美しさを妬まれ、いじめられる白雪(坂東玉三郎)。暗殺を命ぜられた家臣・新吾(中村獅童)に命を助けられ、七人の妖精と山中で暮らしますが、老婆に扮した野分の前から毒リンゴを食べさせられ…。おなじみの童話を通じて、人間の欲望と不安、狂気を描いた大胆な作品でした。

歌舞伎座は初めてでしたが、1階席の3列目で花道のそばだったので、演者の生の声や表情を大迫力で感じることができました。イヤホンガイドの解説で場面の展開がよく分かり、楽しめました。ホールで買い求めた「筋書き」も、丸山勉作「令月枝垂梅」の表紙で、令和にちなんだ粋な趣向でした。

難しいイメージがある歌舞伎ですが、意外と分かりやすく、また別の演目を見てみたいと思いました。

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2019/12/04

大嘗宮と「大嘗祭」展

妻と一緒に皇居東御苑「大嘗宮一般参観」と國學院大學博物館「大嘗祭」展に行ってきました。

20191204a大嘗宮は、「大嘗祭」を行うため特別に設けられた祭場です。東の悠紀殿、西の主基殿、中央の廻立殿を中心に、東西の神饌を用意する「膳(かしわ)屋」と付属建物で構成されています。

大嘗祭は、即位後の天皇が皇祖神に神饌を捧げ、国の安寧と豊穣を祈る祭祀です。廻立殿で身を浄め、卜占で選ばれた東日本(悠紀地方)と西日本(主基地方)の神饌田で採れた新穀を悠紀殿と主基殿で捧げます(今回は11/14夜~15未明に催行)。

この日は、乾通り秋季一般公開中で、坂下門から乾通りの紅葉を見ながら、西桔橋から大嘗宮へ。ものすごい人出で坂下門から大嘗宮まで約2時間半かかりました。一般参観は12/8(日)までです。

20191204bより深く知るために、國學院大學博物館で開催中の「大嘗祭」展へ足を延ばしました。

この企画展は、「大嘗祭とは?-歴史と目的ー」「神に供える米ー新穀の準備ー」「大嘗祭の場ー大嘗宮 悠紀殿・主基殿ー」「天皇の神事ー神饌供進ー」「祭りのあとの祝宴ー節会ー」「吉田家文書と大嘗祭」の6テーマで大嘗祭の意味に迫っています。

同大学所蔵資料と解説で、大嘗祭は壬申の乱(672)で乱れた国の安寧を願い天武・持統天皇の時代に始まり、南北朝期や応仁の乱後の中断を経て江戸中期に桜町天皇が再興(1738)したこと、即位が7月より前ならその年の、後なら翌年の11月二の卯日に行われること、悠紀殿と主基殿は、もとは両地方の人々が七日前から建て始め、五日間で竣工し、祭祀が終わるとすぐに取り壊したこと、両殿内で行われる神事と作法、捧げられる神饌の模型など、非公開で行われる大嘗祭がよく分かる好企画です。

國學院大學博物館は、常設展示の考古祭祀と神道関係が充実しています。企画展「大嘗祭」の展示図録は早々に完売で手に入らず残念でした。こちらの会期は12/22(日)までです。

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2019/12/01

お浜降りセミナー2019(2)

千葉県博図公連携事業の「お浜降りセミナー2019」。

第2回セミナーが君津市立中央図書館の視聴覚室で行われました。

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この日は、1講「神輿の起源と祭礼」(國學院大學・笹生衛氏)、2講「お浜降り習俗と潮の民俗」(日本民俗学会・田村勇氏)、3講「福島県浜通りの浜下りと漂着神伝承」(元福島県立博物館・佐々木長生氏)、4講「映像資料・南相馬市男山八幡神社のお浜下り」(南相馬市博物館)の上映でした。

1講では、特定の場所に坐す神が移動するようになったのは何故か、その手段としての神輿の起源とその展開を考察し、渡御行列が祭礼へと変化していく様子を古絵巻などから考察。分かりやすい解説で、富津・吾妻神社の神馬が古態を残す貴重な祭礼であることを再認識しました。

2講では、安房地方の浜降り習俗を「潮」(海)の視点から考察。南房総をフィールドとする講師ならではのアプローチで興味深かったです。

3講は、福島県内の浜下りの信仰形態と作神系・漂着神伝承の関係を紹介。詳細な参考資料を提供いただき、地域差の存在を再確認できました。

セミナーも2回目となり、具体的な祭礼を詳細に分析した各論的な解説で面白くなってきました。今後も継続的にセミナーを開催するそうなので楽しみです。

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