来訪神・仮面仮装の神々の現在~南西諸島を中心に
国立歴史民俗博物館で行われた映画の会「世界無形文化遺産 来訪神・仮面仮装の神々の現在~南西諸島を中心に~」に行ってきました。
歴博映画の会は、歴博が製作・収集した民俗・歴史分野の記録映画を、研究者の作品解説とともに公開している講座です。
今回は、「甑島のトシドン」(1979、民俗文化映像研究所)と「石垣島川平のマユンガナシ」(1982、東京シネマ新社)の上映と、解説は歴博研究部民俗研究系の内田順子氏でした。
甑島のトシドンは、鹿児島県の下甑島に伝承される正月行事です。大晦日の夜、異形の仮面を付けて家々を廻り、子どもらの行状を諫めて去って行く来訪神です。郷中教育の一種ですが、近年は希望者が「トシドン申込書」で申し込み、申し込んだ家だけを廻るように変容したとか。
マユンガナシは、沖縄県の石垣島に伝承され、笠に蓑をまとい、棒を持って家々を祝福して廻る来訪神です。農耕の予祝儀礼の一種と考えられており、現在も続くのは川平地区のみだそうです(原則として非公開、写真撮影不可)。
いずれも存続が危ぶまれる民俗行事で、映像記録による保存・継承の大切さを実感しました。他方、トシドンでは、本来地域ごとに様々な扮装で行われていたところ、記録映画の完成後は映像内の扮装が「スタンダード」とされて地域性が消えたなどの影響が報告され、映像記録による保存の副作用についても考えさせられました。
このテーマでは、2020年2月に東北編が予定されているので、楽しみです。
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