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2018/03/21

さよなら伊勢丹松戸店

伊勢丹松戸店が43年の歴史に幕を下ろしました。

20180321自宅から歩いて行ける距離に老舗デパートがあるのは便利でしたし、地元にとって「あって当たり前」の存在だっただけに、少なからずショックと寂しさが隠せません。

もっとも、近年はいつ行ってもお客さんより店員さんの数の方が多い印象でしたし、私自身もデパ地下を除けば中元や歳暮で利用する程度だったので、やむを得ない気もします。

伊勢丹松戸店は、松戸市が積極的に誘致して、昭和49年(1974)4月19日に開業。当時のキャッチフレーズは「笑い声。いい音楽。そよ風。美しい香り。やさしい心…。あなたの街の、あなたのデパート」でした。
平成7年には新館を増床するほど好調でしたが、都心と柏に挟まれた立地が仇となり商圏が競合。その後は赤字店舗に転落し、平成28年に整理縮小店舗の一つになりました。

昨年8月、市は唐突に救済案を発表。10年契約で4階フロアを借り上げ公共施設を入れ、テナント料を支払う代わりに途中解約不可(つまり10年間は撤退しない)という案でしたが、テナント料として計21億円の税金を投入する内容に批判が集中。そこへ伊勢丹側が、5階以上の閉鎖を打診。さらに、賃貸借で公共施設を入れ、かつ、5階以上の閉鎖が存続の条件で、受け入れられなければ撤退すると伝えたことから、恫喝まがいの要求だと市議会が猛反発。9月に全会一致で市の救済案を否決すると、伊勢丹側は直ちに閉店を発表しました。

この一連の「騒動」がなければ、いいイメージのまま閉店を見送ることができたようにも思いますが、一部で「松戸を見限った店では買い物しない」と反発を招く結果になったのは残念でした。

ともあれ、街では早くも「次はショッピングモールがいいな」などと囁かれ、なかなか強かな松戸市民なのでした。

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2018/03/09

仁和寺と御室派のみほとけ展

上野・東京国立博物館で開催中の「仁和寺と御室派のみほとけ」展に行ってきました。

20180309この特別展は、京都・仁和寺(真言宗御室派総本山)と御室派の寺院が所蔵する寺宝174点(うち国宝24点、国重文75点)を集めた特別展です。

仁和寺は、仁和四年(888)、御願寺(皇室の私寺)として宇多天皇が創建し、自らも出家して法皇となりました。その僧房を「室」と称したので「御室」と呼ばれ、明治維新までは法王・法親王が門跡を務めました。
歴代天皇家とゆかりが深く、また、真言密教の事相(修法の作法など実践を研究)の拠点として数多くの寺宝を伝えています。
ちなみに、千葉つながりでは、成田山新勝寺を開いた寛朝大僧正は宇多法皇の孫で仁和寺別当でした。

展示は、第1章「御室仁和寺の歴史」、第2章「修法の世界」、第3章「御室の宝蔵」、第4章「仁和寺の江戸再興と観音堂」、第5章「御室派のみほとけ」のテーマ別に構成。

第1章では、空海の息遣いを感じさせる国宝「三十帖冊子」(9世紀)、白檀で体高わずか11cmの国宝「薬師如来坐像」(1103)、第2章では、国宝「孔雀明王像」(10~11世紀)、奈良・子島寺の国宝「両界曼荼羅」(10~11世紀)、第3章では、国宝「医心方」(12世紀)、「鳥獣戯画」(18~19世紀)、京都・大福光寺の重文「方丈記」(13世紀)、大阪・金剛寺の国宝「延喜式」(12世紀)などが印象的でした。
第4章では、何といっても現地非公開の観音堂内を再現した展示が圧巻(上の写真、撮影も可)。現地の観音堂が改修工事中だからこそ可能になった企画でしょう。
第5章では、仁和寺の本尊で国宝「阿弥陀如来坐像と両脇侍立像」(888)、一木造りとは思えない大阪・道明寺の国宝「十一面観音菩薩像」(8~9世紀)、1041本の手を持つ大阪・葛井寺の国宝「千手観音菩薩像」(8世紀)などが興味深かったです。精巧な造りと豪華な装飾は、平安期の官営工房ならではの特徴だそうです。

仁和寺は2015年に金堂(旧紫宸殿)と経蔵の特別拝観で訪問しています。今回は、混雑を避けるため夜間開館日を利用しましたが、さすがに会期末が近かったので閉館時間(21時)ぎりぎりまで大勢の人でした。
この特別展は、3月11日まで開催されています。

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