芳賀日出男写真展
東京ミッドタウンのフジフイルムスクエア写真歴史博物館で開催中の芳賀日出男写真展「伝えるべきもの、守るべきもの」に行ってきました。
日本や世界各地の祭礼を60年以上も撮り続けてきた民俗写真の大家で、折口民俗学に裏打ちされた民俗学的視点で捉えた写真は、単なる記録を超えて、新たに民俗写真というジャンルを開きました。
96歳の現在も、現役の写真家として精力的に活動されています。
今回の写真展は、氏の原点でもある祭礼、人生儀礼、稲作儀礼をテーマにした作品から、昭和28年~平成8年に撮影された29点を展示しています。
「祭り」は、訪れ神(西表島)・鑽火(島根)・奄美の祝女(奄美大島)・幸若舞(福岡)・鷺舞(島根)・若女(平泉)・火防せの神の使い(宮城)・国津神事(福井)・横手万歳(秋田)・まゆんがなし(石垣島)・榊鬼(奥三河)・円座のかんこ踊り(伊勢)・西大寺会陽(岡山)・大黒舞(山形)・供える(伊東)の15点。
「人生儀礼」の部は、七日祝(沖永良部島)・嫁入り(三春)・三十三回忌(沖永良部島)・臨終(奄美大島)・十三祝(沖永良部島)の5点。
「稲作儀礼」の部は、雪中田植(秋田)・伊勢の早乙女(志摩)・虫送り(愛知)・高倉(奄美大島)・年男(福島)・あえのこと(能登)・壬生の花田植(広島)・田の神迎(石川)・一粒の種から(愛知)の9点。
どの作品も、自然に宿る神々とともに生き、日々の恵みに感謝を捧げる人々の姿がストレートに迫ってきます。自分が生まれた頃には、素朴で自然な形で祭礼が受け継がれていた様子が分かり、民俗芸能ファンとしては興味深いものがあります。
写真展としては小振りですが、作品解説リーフレットが詳しくて秀逸です。2月3日と3月3日は、氏本人と息子で民俗写真家の芳賀日向氏によるギャラリートークが予定され、こちらも民俗芸能を撮る者には垂涎の企画です。
この写真展は、3月31日(土)まで開催されています。
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