岡本太郎の東北展
妻と一緒に、東京・南青山の岡本太郎記念館で開催中の写真展「岡本太郎の東北」に行ってきました。
岡本太郎氏と云えば、「芸術は爆発だ!」で知られる前衛的な芸術家です。私は、大阪万博(1970)で太陽の塔をリアルタイムで見に行った世代なので、特に強烈な印象があります。
そんな太郎氏が、日本の民俗芸能にカメラを向けていたことは、つい最近知りました。
写真展では、縄文文化をきっかけにシャーマニズムに関心を寄せた氏が、東北を訪れて土着の魂の叫びを見い出し、独特の視点で切り取った写真を展示しています。
1960年代の東北には、人々の生活に根付いた郷土芸能が純粋な形で、いい意味で「泥くさく」残っていました。氏は、これらの民俗を芸術家の鋭い感性で撮影しています。人々の素朴な表情がモノクロ写真で迫り、凄みすら感じます。
たしかに民俗を撮っているのですが、普通の民俗写真と何か違う…。何が違うんだろうとしばし考えて、氏の視点が被写体の「顔」に据えられていることに気付きました。民俗の表層にではなく、人・動物・物の「顔」に真っすぐ向けられた強烈なまでの関心…。
プロの写真家ではなく芸術家としての斬新な視点、切り取り方にハッとさせられ、民俗芸能と対峙する姿勢を深く考えさせられました。
記念館は、氏のアトリエを公開したもので、生前のアトリエや庭のオブジェが印象的(館内撮影自由)。近くには根津美術館や秋山庄太郎写真芸術館(こちらは当分の間、休館中)もあります。
この写真展は、10月9日(月)まで開催しています。
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