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2017/01/29

八千代・下高野の辻切り

八千代市下高野区で行われた辻切りを撮影。

20170129ムラに疫病や災いが入らないように、毎年1月下旬(天神ビシャ後に決定)、藁で大蛇を編み、集落の境6か所に掛けます。

八千代市内の辻切り行事は8か所に残り、下市場区・上高野区・下高野区・下町区(村上)・台町区(村上)が藁蛇型、高津区・小池区・勝田区が注連縄型です。

目や舌の作り方、本体に挿す枝、御神札の種類など、地区ごとに少しずつ違います。下高野区では、目・舌に唐辛子(伏見甘長)を使い、背に塞神の御神札・幣束・ヒイラギ・スギの小枝を挿します。

【この日の進行スケジュール】
9:00~ 藁蛇作り(頭・胴体を6体)
12:00~ 休憩
13:00~ 飾り付け(目・舌・挿し物)
13:40~ 辻にかける(青菅、上高野、米本、保品、先崎、青菅の境)
15:30ころ 終了

【メモ】
青菅地区(佐倉市)との境に近い農家のビニールハウス内で作業。頭部に使う藁をすき、2人一組で大辻(蛇)6体と自宅用の小辻(蛇)を編む。和気藹々と作業が進み、できた大辻と小辻を板で押して転がし、滑らかに仕上げたところで昼休憩。午後1時、目・舌・挿し物で飾り付けて完成。すぐ前の辻(青菅との境)に掛け、あとは軽トラに分乗して順番に掛けて回る。
今回、作業と並行して小辻作りを体験させてもらい、藁を編む難しさを実感。小休止では、自家製の甘酒やかき餅を馳走になりながら、地区の古い話を聞かせて頂く。見学者はなく、カメラマンは3人。駐車は下高野区公会堂にスペースあり。お世話になった地区の皆さん、まっくろくろすけさん、ありがとうございました。できあがった小辻は、さっそく床の間に飾りました。
※詳細記事は、本宅サイト「ぐるり房総」に掲載しています。

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2017/01/27

祝いの民俗~ハレの造形~展

埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催中の「祝いの民俗~ハレの造形~」展に行ってきました。

20170127この企画展は、埼玉県内に伝わる祝いの民俗を、ハレの日に用いる飾りや神を迎える道具、衣装など193点で紹介しています。

テーマごとに、「祝いの意匠」では水引の宝船や神酒口、華やかな引札が、「謹賀新年」ではハナ(座敷飾り)が、「人生の節目と祝い」では底抜け柄杓や鴻巣の赤物、五十五の団子や長寿銭が、「新造の祝い」では上棟の幣串と雁股矢、船おろしの船霊さま一式が、いずれも珍しくて興味深かったです。

右のチラシに描かれているのは、正月に商人がお得意様に配った引札です。長く家に貼ってもらえるように、華やかでめでたい図柄が好まれ、左の余白には店名や商品名を刷り込みました。

会場では、川越市古谷本郷の「ほろ(母衣)祭り」の背負い飾りの展示がひと際目を惹きます。これはぜひ9月に現地を訪れて見学したいと思いました。

房総では見かけない風習もあって、地域差がよく分かり、大宮まで遠征した甲斐がありました。この企画展は、1月2日(月)~2月12日(日)まで開催しています。

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2017/01/15

匝瑳・ひげなで三杯

匝瑳市今泉の稲生神社(今泉5412)で行われた「ひげなで三杯」を撮影。

20170115今泉地区では、神社の当番を16集落が年番で担当しています。新旧当番の交代は、毎年1月15日、神社で行われます。

当日は、当番引継ぎの儀式として、新旧当番区が他区の役員をもてなす祝い膳と、酒を飲み競う「ひげなで三杯」、当番引継ぎ行事が行われます。

「ひげなで三杯」は、東西に分かれて二人ずつ酒を飲み競います。
小椀で一杯、大椀で一杯を飲み干し、どちらかが髭をなでると、さらに大椀に三杯目が注がれます。飲み干せないで先に椀を置いた方が負けです。

当番区の引継ぎでは、新旧当番が対座して盃を酌み交わし、御神体を引継ぎ、一本締めで納めます。新当番は、御神体を集落に持ち帰る際、神社を出るまでは何があっても後ろを振り返ってはならないとされています。

【この日の進行スケジュール】
10:20~10:45 神事
11:00~12:00 祝い膳(座奉行が奉仕)
12:15~12:40 ひげなで三杯
12:40~12:55 当番引継ぎ
13:00ころ 終了

【メモ】
午前10時ころ現地入り。神事が終わると神職は帰り、祝い膳の宴席には参加しない。宴席では「座奉行」(裃姿の男児2人)が御神酒を振る舞い、1巡目は小盃、2巡目は中盃、3巡目は大盃に注ぎ三献する。男児は宴席が終わると帰り、ひげなでには参加しない。ひげなでは、行司役と東西2人の座を作り、賽銭を入れる箱、大小の酒椀を用意する。小椀(0.7合)→大椀(1.5合)と飲み干し、どちらかが髭をなでると大椀に三杯目を飲む。周囲の声援と笑い声の中、対戦が進む。対戦が終わると、座を整え、当番引継ぎが行われてお開きとなった。
見物人は数人、カメラマンは2人。神社に駐車スペースあり。詳しく教えていただいた総代の皆さん、ありがとうございました。
※詳細記事は、本宅サイト「ぐるり房総」に掲載しています。

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白子・幻の牛込獅子舞

白子町の子之上神社(牛込1808)で奉納される獅子舞を見学に行きましたが、すでに中断していました。

20170115a【現地案内板の説明】
「天保年間(一八三〇~四三)、牛込村の名主で船主の長五郎(姓斎藤)が、村内青年達に健全な娯楽、修養を奨励する意図をもって、獅子舞の諸道具を若衆に寄贈したことから始まったといい伝えられている。
流派を、いっせん流といい、しなやかな舞踊が初期には特徴であった。
毎年、氏神の子の上神社の祭礼に奉納したり、正月と九月に区内の各戸をまわり、悪魔祓いをする外、町内外の祭典や行事に出演している。演目の主なものに平獅子、四つ足、亀獅子、玉獅子、蛇遊び、おそめ、蜘蛛、鳥さし、和唐内などがある。」

【この日の進行スケジュール】
9:00~ 獅子頭を飾り置き(拝殿)
9:30~ ムラ廻り

【メモ】
匝瑳市の「ひげなで三杯」に向かう途中、牛込宮本獅子舞保存会による獅子舞を見学に立ち寄る。現地に着くと、拝殿内に集落の皆さんが集まり、獅子頭(新・旧)に榊と御神酒を備えて飾り置きされていた。役員さんによると、舞手と囃子方がおらず、ここ2年ほど獅子は舞っていない(神社祭礼も同じ)。
現在は、地区の皆さんが見守る中、獅子頭に悪魔祓いを祈願した後、獅子頭を持ってムラ廻りをして終了する。地区の皆さんも残念そうだった。

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2017/01/07

鴨川・呵萬数珠(かあまんずず)

鴨川市の待崎須賀神社(広場819)で行われた「呵萬数珠」(かあまんずず)を撮影。

20170107毎年1月7日、子供たちが数mの大数珠と幣束を持ち、「カーマンズズ、キレタラツナゲ、ツナイダトコロデ、ヨーイヤセ」と唱えながら家々を祓って廻り、おひねり(賽銭)をいただく風習が現在も残っています。

子供たちは、小学高学年をリーダーに氏子の家々を廻り、玄関先で「ショウバイハンジョウスルヨウニ、アクマヲハラッテ、ヨーイヤセ」と唱え、戸主を幣束で祓います。
お年寄りがいる家では、大数珠の親玉を足腰の痛い所や悪い所にあて、早く良くなるように祈願します。

もとは僧侶が鉦を叩きながら念仏を唱え、信徒が輪になり大数珠を繰りながら唱和する「百万遍念仏」で仏教行事ですが、待崎地区では神社の行事として神仏習合の珍しい形態で行われています。

【この日の進行スケジュール】
11:30 設営(各区氏子総代)
13:00 集合(各区役員・子供たち)
13:30~15:30 ムラ廻り
5班に分かれて神社発→氏子各戸を祓って廻る→神社着
16:00ころ 終了

【メモ】
11時ころ現地入り。当日は神職による儀式はなし。子供たちが集合すると、氏子総代さんの説明と唱文の練習。14時予定の出発は30分早まり13時半に(来年は13時発予定とのこと)。ムラ廻りは、5班体制で5地区を廻る。1つの班は子供が2~3人、キモイリ(手伝い)役の大人2人が付いて20数軒を担当。かつては2班体制で夜までかかったが、現在は2時間ほどで廻る。もとは男子の行事で、大勢でムラ廻りをし、おひねり(賽銭)を均等に分けたと云う。今は少子化に加えて子供たちが忙しく、わずかな手間賃では集まらないとのこと。参加した子供は15人(うち男の子3人)。見物人は子供たちの親御さんのみで、カメラマンは3人。神社に駐車場あり。
詳しく教えていただいた氏子総代・役員の皆さん、ありがとうございました。
※詳細記事は、本宅サイト「ぐるり房総」に掲載しています。

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2017/01/02

南房総・下立松原神社のミカリ神事

南房総市白浜町の下立松原神社(滝口1728)のミカリ神事を撮影。

20170102【現地案内板の説明】
「下立松原神社のミカリ神事は江戸時代(文化十三年頃)から行われたとされる。
『ミカリ』という名の由来は、古く由布津主命が天富命と一緒に安房に上陸し、農作物を荒らす猪や鹿を狩って退治したことによるといわれ、鹿倉山は狩りをした場所、頂上の石宮三社は狩りをした神々であるという。また、山頂で宮司が叫ぶ『曲田の小平』というのは、狩りを助けた者だと伝えられている。
ミカリ神事は旧暦十一月二十六日の夜から十日間にわたって行われる。二十七日から三日間、宮司・氏子総代が社務所に籠もり、鹿倉山に行く。これを『サバシ参り』と称している。また、二十七日は『イチノビ(一の御日)』といって縄綯りをする。十二月一日は『注連張り』といって『イチノビ』に綯った縄を注連にして本殿の奥から鳥居まで、参道に沿って千鳥掛けに張り、神前に白い強飯などが供えられる。
ミカリ神事の最終日である十二月四日は、『夜明かし祭り』といい、前日からは神社役員の氏子総代も社務所に参籠し、夜になってから参道に大火を篝火として焚き、御霊が移された神輿が鳥居の先まで渡御し、お旅所の社務所に入る。こうして、十二月四日の夜明け前には神輿がお旅所から本殿に戻り、ミカリ神事は終わる。
下立松原神社のミカリ神事は今なお旧暦で神事が行われ、多少簡略化されてはいるものの、サバシ参り、縄綯い、夜明かし祭りの神事が現在も守られているなど、他の神社では失われたものが今も伝えられていて学問的にも貴重なものとされている。」

【この日の進行スケジュール】
19:30~ 大篝火に点火
19:40~ 御霊遷し(拝殿)
祭儀→御霊を輿に遷す→輿行列が出発
19:55~ 二の鳥居(祭儀)
祭儀→輿行列でお旅所へ
20:10~ お旅所(社務所内)
御霊遷し→祭儀
20:40ころ 終了

【メモ】
「房総のミカリ習俗」として県記録選択無形民俗文化財の一つ。今年はイチノビ(縄綯い祭)が12/25、夜明かし祭が1/2で、最終日の「夜明かし祭」を撮影。かつて行われていた、参籠前の宮司の禊(七浦でのシオアビ)と、山頂での叫び(曲田の小平)は、現在は省略されている。御霊遷しは、宮司のみ拝殿で祭儀執行後、灯りを消して真っ暗闇の中、輿が横付けして行われる(撮影不可)。拝殿から二の鳥居までは140mほど。鳥居前で短い祭儀を執り行い、お旅所(社務所)に戻る。
予想以上に真っ暗で、f2.8ズーム+ISO12800でもシャッター速度が上がらず。AFも迷い、素直に補助光ONが吉。見物人は地元の皆さんが多数、カメラマンは2人。神社に駐車場あり。
※詳細記事は、本宅サイト「ぐるり房総」に掲載しています。

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2017/01/01

白井・七次の大日神楽

今年の初記事は、白井市の大日神社(根1388)の元旦祭で奉納された神楽を撮影。

20170101浦部(印西)から富塚に伝わった神楽(廃絶)を、昭和初期ころに伝習したとされ、「みこ舞」一座が舞われています。

戦時中に一時中断しましたが、昭和30年代に古老から笛・鼓を教わって再興。曲は、祭典の進行に伴い、3曲(神職の儀式に奏でるゆっくりした「練り」、みこ舞で奏でる「みこ舞」、最後に玉串奉奠で奏でる繰り返しの「奉幣」)が伝わります。

保存会等はなく、地元消防団とOBで伝統を守っており、元旦祭のほか、祈願祭(おびしゃ、2/17)と例大祭(10/15)でも奉納されます。

【この日の進行スケジュール】
23:50~ 元旦祭
祝詞奏上→修祓→神楽奉納(みこ舞)→玉串奉奠
0:30ころ 終了

【メモ】
昨年の現地調査を基に、今回は大晦日の23時ころ現地入り。焚火にあたりながら古老から詳しい話を伺う。長楽寺の除夜の鐘が響くころ、拝殿で元旦祭が催行。式次第はなく、淡々と進行して神楽を奉納。舞は、榊と鈴を持ち、両手を前に押し出して舞う。舞時間は5分ほど。厳かな中にも力強さを感じさせる。2月のおびしゃの前には、2週間の寒稽古をするとのこと。なお、現地では「巫女舞」と呼んでいるが、浦部から伝わったとすれば「神子舞」かも知れない。
見物人は昇殿者など十数人、カメラマンは私のみ。神社の駐車場は、当日は関係者以外不可(川沿いにスペースあり)。
詳しく教えて頂いた世話役・楽師・舞手の皆さん、ありがとうございました。
※詳細記事は、本宅サイト「ぐるり房総」に掲載しています。

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2017年を迎えて

新しい年を迎えました。

Kagamimoti本宅サイト「ぐるり房総」は、今年で20周年を迎えます。拙ブログも12年目に入りました。
この間、21万Prvとたくさんの皆さんに見ていただき、心から感謝しています。

「ぐるり房総」は、1997年12月、心に残る房総をテーマにスタートしました。当時は、市町村の公式サイトも少なく、房総を取り上げたサイト自体が珍しい時代でした。
初めの10年間は、県内80市町村(当時)を訪ねて、ふるさとの町の隠れた魅力を取り上げました。
その間、各地の伝統行事に触れ、2002年の「白浜海女まつり」から祭事を掲載。15年間で278の民俗行事を取り上げました。

近年は、時代の変化や少子高齢化でやむなく廃絶する祭事・行事が多くなったように感じます。少しでも地元が元気に、そして、伝統行事に関心が高まり長く続けられることを願いつつ、取材を続けています。
今年も、地元の皆さんが大切に守り継ぐ行事を、感謝しつつ邪魔しないように、地元目線で一緒に楽しみたいと思っています。

新しい年も、拙ブログと本宅サイト「ぐるり房総」をよろしくお願いします。

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