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2016/01/30

浮世絵ジャポニズム展

妻と一緒に、鋸南町・菱川師宣記念館で開催中の「浮世絵ジャポニズム」展に行ってきました。

20160130開館三十周年の企画展で、西洋にジャポニズム・ブームを引き起こし、印象派誕生のきっかけとなった浮世絵と、影響を受けた印象派の巨匠の名作を、東京富士美術館とのコラボで展示しています。

個人的にはモネの「海辺の船」、ルノワールの「読書する女」がお目当てでしたが、他にシスレーやピサロ、ロワゾーの風景画もありました。
浮世絵は、北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」「山下白雨」「甲州三坂水面」ほかを展示しています。

他に、館所蔵の浮世絵では、鋸南の明鐘岬や木更津、小湊など、房総の風景を描いたものなどが興味深かったです。

房総半島の小さな美術館で、浮世絵と印象派の巨匠の名作を堪能できる意欲的で素晴らしい企画だと思います。
菱川師宣記念館まで片道100kmほどありましたが、途中、佐貫の宮醤油店で醤油を仕入れ、金谷のばんやで漁師めしを味わい、帰りは映画ですっかり有名になった「岬カフェ」に立ち寄りました。

浮世絵ジャポニズム展は、2月7日まで開催しています。

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2016/01/24

お飾り~神仏への祈りのかたち

先週、撮影行の途中に、睦沢町立歴史民俗資料館で開催中の特別展「お飾り~神仏への祈りのかたち」に立ち寄りました。

20160124この特別展は、東北地方で祭祀や正月飾りに用いられる切り紙飾り(お飾り)を展示して、「神が宿る紙飾り」の文化を紹介する意欲的な企画展示です。

東北のお飾りは、平面的な「切り透かし」、立体的な「御幣」と「網飾り」があります。このうち「網飾り」は、何度も和紙を折り畳み、細かい切込みを入れ、解きほぐして広げると、網のような繊細な模様の中に米俵や鯛など縁起物が現れる繊細なものです。
東北地方の一部にしか見られない上、高齢の神職が作って氏子に配り、一年間飾られた後、どんど焼きで燃やされるため、古いものはほとんど残っていないそうです。

展示作品は、お飾りの研究家でもある芝原人形四代目・千葉惣次氏が長年にわたって収集したもの。宮城・琴平神社網飾り(パンフ写真上)、福島・養泉院切り透かし「金包」(中)、宮城・御賀八幡宮人形御幣「八将神」(左下)など、55点を展示しています。

これらの社寺の中には、東日本大震災で被災したところもあり、伝承が困難になりつつある今、貴重な記録になっています。

以前、芝原人形展で氏の工房を訪れた際、お飾りの資料を見つけて気になっていました。
残念ながら展示図録は用意されていませんが、さらに詳しく知りたい場合は氏の書籍「東北の伝承切り紙」(2012)にまとめられています。

特別展「お飾り」は、2月7日(日)まで開催しています。

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2016/01/17

茂原・二宮神社のお的神事

茂原市山崎の二宮神社で行われたお的神事を撮影。

20160117b【茂原市文化財の説明】
「筒粥の神事:神事の当日(1月15日)午前8時、神殿を装飾し、社頭において、鉄鍋にて粥を煮る、葭殻(よしがら)を幣束に切り、筒12本を製し、コヨリにて編み連ね、これを中央に入れ、1時間煮て、氏子、村吏、社人立会いの上、筒粥を割り、筒の中に入った粥の多少により五穀の豊作・凶作を占う。

お的の神事:神事の当日(1月17日)午前8時、神殿を装飾し、拝殿の正面15間を隔て、お的を置き矢を3度放ち、当たった矢の行方により風、雨、旱(かんばつ)、地震の四兆を占う。

これらの神事は、神事をとり行う社家について旧来の家格を遵守し、神事に用いる用具や準備など、その役割分担が厳格に受け継がれている。また500年以上も前から行われているとの伝承がある。」

【この日の進行スケジュール】
10:00~ 例祭(拝殿)
10:30~ 直会(公民館)
12:00~ 的立て
12:30~ お的(弓射)→占い
12:45ころ 終了

【メモ】
1/17のお的神事を撮影。午前10時から例祭式典(関係者のみ、撮影困難)。正午ころ、役員が的を立て、射手(社家)が弓矢を持参して神社に入り支度を整える。矢は六本ずつ三回の18本を放つ。当たるも当たらぬも神様の意思によるとされる。正式な弓と矢を使うのでかなり遠方まで飛び、跳矢は玉垣を軽く超える(神社入口周辺の駐車は危険)。今年は八本が的中し、判定は「雨は少なく風穏やかだが、地震が多そう」と出た。見物人は市内外から十数人、カメラマンは自分のみ。神社参道に駐車スペースあり。
※詳細記事は、本宅サイト「ぐるり房総」に掲載しています。

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九十九里・真亀下の獅子舞

九十九里町真亀下の水神社で奉納された獅子舞を撮影。

20160117a真亀地区は、真亀川に沿って岡から納屋まで5つの大きな自治区に分かれていて、真亀一区(上)の鎮守は須賀神社(天王さま)、真亀二区(下)の鎮守は水神社です。

真亀下の獅子舞は、二区に伝わる伊勢太神楽系の二人立ち獅子舞で、真亀下獅子連の皆さんが守り継いでいます。
水神社の春祈祷(旧行1月20日、現在はその前の日曜日)で悪疫退散を祈願しながら各戸を回るほか、天王さまの祭礼(旧行旧暦6月7日、現在は7月最終日曜日)でも、真亀上の神子(かっこ)舞とともに神輿に供奉して演じられます。

【この日の進行スケジュール】
7:30~ 水神社で奉納→ムラ廻りへ
世話人宅→4班班長→5班班長→世話人宅→セーブオン→浅岡建設→五区副会長→個人宅→十二支神様→3班班長→区長・天神様→2班班長→5区会長→同副会長→上区長→個人宅→須賀神社
12:00~ 昼食(共同館)
14:00~ ムラ廻り
サンライズ九十九里→神子連会長→個人宅→五区副会長
15:00~ 恵比寿神社
15:45~ 子安神社
16:15~ 稲荷神社

【メモ】
春祈祷のムラ廻りに同行。午前7時、役員が水神社に集まり、神楽櫃や締太鼓を準備。午前7時半、水神社と境内社(諏訪社・八幡社)前で1回ずつ短く舞い、神楽櫃を先頭に鳥居をくぐって出発。かつては集落全戸を二日かけて回ったが、現在は役員宅のみ。庭先や座敷で祈祷舞(三方)を短く舞い、神札と幣束を配り、戸主から米と祝儀を受け取る。酒食の接待を用意している家もあった。一部クルマ移動あり。途中の須賀神社と舞い納めでは正式にやや長く舞う。見物人は関係者だけ、カメラマンは自分のみ。水神社に駐車スペースあり。詳しく教えて頂いた役員さん、ご接待を頂いた集落の皆さん、ありがとうございました。
※詳細記事は、本宅サイト「ぐるり房総」に掲載しています。

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2016/01/12

石川直樹写真展「まれびと」

銀座のキヤノンギャラリーで開催された石川直樹氏の写真展「まれびと」に行ってきました。

20160112石川氏は昭和52年東京生まれ。中高生のころから未知の世界を求めて国内や世界を旅し、大学時代に世界七大陸最高峰を史上最年少で登頂した冒険家です。旅を通じて人類学・民俗学に関心を深め、写真で記録する面白さに目覚めたそうです。
大学院では環太平洋の島しょ部の渡海文化を研究。2011年、ポリネシアの島々を訪ねた写真集「CORONA」で土門拳賞を受賞し、現在も民俗学的な視点で「未知との出会い」を求めて精力的に活動している写真家です。

今回の写真展は、折口民俗学でいう「まれびと」(海からの異形の来訪神)を迎えて行われる国内の仮面祭礼を通じて、人々の内面にある「未知なるもの」を10年かけて追い求めた作品を展示しています。

展示は、ボゼ(鹿児島・悪石島、写真右下)、メンドン(同・硫黄島)、トシドン(同・下甑島)、メン(同・黒島)、オニ(大分・国東半島)、ケベス(同)、ミルク(沖縄・西表島)、フサマラー(同・波照間島、写真左上)、マユンガナシ(同・石垣島)、パーントゥ(同・宮古島)、カセドリ(佐賀・蓮池)、アマメハギ(石川・輪島)、ミズカブリ(宮城・登米)、アマハゲ(山形・遊佐)、ナマハゲ(秋田・男鹿半島)、ナゴメハギ(同・能代)、アマメハギ(新潟・村上、写真左下)、スネカ(岩手・大船渡)、アマメハギ(秋田・にかほ)の19点。
民俗学的な視点で祭礼を撮る数少ないプロの写真家で、注目したい一人です。

新潟・村上のアマメハギは、房総・横芝光町の「小田部の火防」と似ていて興味深かったです(面の種類は違いますが)。

この写真展は、東京では1月13日(水)まで。以降、4月下旬まで大阪→名古屋→福岡→札幌→仙台のキヤノンギャラリーで開催されています。

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2016/01/11

船橋・古和釜のオビシャ

金原からの帰りに、船橋市古和釜町の八王子神社で行われたオビシャを撮影。

20160111b古和釜のオビシャは、八王子神社(古和釜町161)の年当番の交代儀式で、毎年1月11日と20日に行われます。
輪番のヤドで新旧当番の受渡しが行われ、新しい年当番が背中に神の依代を挿し、神職と役員に付き添われて神社に入ります。ヤドから神社までの道中、新しい年当番は誰とも口をきいてはいけないしきたりです。

拝殿で年当番交代の奉告祭が終わると、境内で弓射ちが行われます。
古和釜では、射手は七歳未満の男児(二人)が努めます。神職が射手を祓い浄め、役員が「鬼」と墨書した的を地面に刺して弓射ちが始まります。子供たちは、お父さんに手伝ってもらいながら2本の矢を射ち、無事に大役を務めました。

古和釜の的は、「鬼」の字を射抜くことで悪疫退散・区内安全を祈願しています。

【この日の進行スケジュール】
11:00~ ヤドから神社へ練り込み→拝殿神事
11:25~ 弓射ち
射手の修祓→的立て→弓射ち
11:30ころ 終了

【メモ】
この日は11日ビシャ。早めに現地入りしたら境内に弓射らしき用意はなく、日付を間違ったか不安になる。社務所の人に確認して年当番がヤドから戻るまで待機。戻ってすぐに拝殿神事(部外者立入禁止)。弓射ちは2本ずつ射って終了し、解散。射手が子供なのは、八王子神社が七年祭では末っ子役で、子育てに御利益があることに関係あるのかも知れない。20日ビシャは、同じ内容でもう一組の年当番の交代が行われる。
見物人は子供の親御さん以外は1人、カメラマンは自分のみ。神社に駐車場あり。
※詳細記事は、本宅サイト「ぐるり房総」に掲載しています。

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匝瑳・金原の大篝と御的神事

匝瑳市金原の三社大神で行われた大篝と御的神事を撮影。

20160111a金原地区の鎮守・三社大神(金原275)では、毎年1月成人の日の明け方、境内で「大篝」と「御的神事」が行われます。

「大篝」は、松薪や青竹を円錐状(高さ6m、周囲15m)に積み上げ、午前6時ころ火を点けます。天高く炎が燃え上がり、竹がボンボンとはぜる中、御神酒が振る舞われます。集落の皆さんは炎に無病息災を祈り、この火にあたると一年間カゼをひかないと伝わります。

「御的神事」は、かつては大篝に火が入った後、拝殿の裏手で行われました。竹で手製の弓・矢・的を作り、その年に七五三を迎える男児が射手を務めました。現在は、少子高齢化で集落に子供がおらず、弓・矢・的は拝殿裏手に飾り置きされ、事実上の休止状態です。

【この日の進行スケジュール】
6:00~ 大篝に点火
拝殿裏手で御的(的射ち)
7:30ころ 終了

【メモ】
大篝は、前日午後、年当番が松薪や青竹を円錐状に積み上げて用意。当日、未明から本殿の扉を開いて蝋燭を灯し、篝火が燃えている間に集落の皆さんが参拝に訪れる。御的神事は、最近の資料には記載がないので、てっきり廃絶したと思っていたが、この日は特別に古老が的射ちを見せてくれた。
この後、午前10時ころ、代々引き継がれる依代の箱を担ぎ棒で担ぎ、「つのーどう」(意味は不詳とのこと)の掛け声で神社に練り込み、神職を迎えて拝殿でおびしゃ当番の交代儀式が行われる。
隣の小高地区(水をかぶる「裸参り」で有名)の人からは「お前の所はいいなあ、火にあたる祭りで」とうらやましがられるとか。見物人は集落の皆さんが15人くらい、カメラマンは2人。神社に駐車場なし。詳しく教えて頂いた集落の皆さん、ありがとうございました。
※詳細記事は、本宅サイト「ぐるり房総」に掲載しています。

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2016/01/01

2016年を迎えて

Turu7新しい年を迎えました。

本宅サイト「ぐるり房総」は、昨年末で18周年を迎えました。拙ブログも、今年で11年目に入ります。
昨年は、たくさんの皆さんに見ていただき、撮影の現場でお声がけを頂くことも多くなりました。心から感謝しています。

「ぐるり房総」では、2002年の「白浜海女まつり」から祭事の掲載を始めました。以降、2008年までは年間3~5か所、2009年は39か所、2010年は58か所、2011年は40か所(他県を含む)、2012年は41か所(同)、2013年は27か所、2014~2015年は年間21か所の祭事・行事を取り上げて掲載しています。
この間、廃絶した祭事・行事もありますが、まだ訪れていない地域や祭事がたくさんあります。現役世代なので本業の合間を縫っての撮影ですが、これからもマイペースで回る予定です。

今年も、地域の皆さんが守る大切な行事を見せて頂いているという気持ちを忘れず、地元の皆さんと一緒に楽しみたいと思っています。

新しい年も、拙ブログと本宅サイト「ぐるり房総」をよろしくお願いします。

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