京都・冬の特別拝観2015(洛西編)
1月の三連休を利用して、妻と冬の京都を訪ねました。
観光客が少ないこの時期は、冬の特別拝観として、いくつかの寺社で非公開の国宝・寺宝が公開されます。
初日は、洛西の妙心寺、仁和寺、龍安寺と、洛東の智積院を巡りました。
妙心寺(臨済宗妙心寺派)では、法堂天井の龍雲図、国宝の鐘、明智光秀の浴室(いずれも通年公開)を見た後、特別公開の三門(国重文)を見学。
禅の三つの悟りの境地(空・無相・無作)を意味する門で、慶長四年(1599)の建築。
狭い階段で楼上に昇ると、そこは極彩色の世界。金色に輝く観音菩薩像や色彩鮮やかな十六羅漢像、天井には鮮やかな迦陵頻伽(極楽浄土に住む想像上の人面鳥)図や龍図、柱や組物にも彩色が施され、素晴らしいものでした。
続いて、6年ぶり特別公開の妙心寺衡梅(こうばい)院へ。塔頭(たっちゅう)寺院(名刹の高僧の隠居邸)の一つで、方丈(国重文)と前庭、茶室を見学。
方丈は、慶長九年(1604)の再建。襖絵「龍虎羅漢図」(狩野派)は趣がありました。前庭は、妙心寺中興の祖・雪江禅師と四弟子を枯山水で表現した「四河一源の庭」。茶室「長法庵」は、大正期の移築で、楠の一枚皮で張られた天井が珍しい意匠でした。
少し時間があったので、同じく塔頭寺院の一つ、妙心寺退蔵院へ(通年公開)。方丈の庭園は、狩野元信の作庭。寺宝の「瓢鮎図」(国宝)は、山水画の祖・如拙が足利義持の命で描いた最古の禅画です。本物は京都国立博物館にあり、残念ながら方丈にあるのは模本でした。
昼食後、世界遺産の仁和寺(真言宗御室派)へ。6年ぶり特別公開の金堂(国宝)と経蔵(国重文)を見学。
金堂は、御所の紫宸殿を移築した桃山期の宮殿建築。高欄の周り縁や蔀戸に繊細な優雅さを残しています。内部には本尊・阿弥陀三尊像(江戸期)や四天王像、帝釈天像が祀られていました。
経蔵は、寛永~正保年間(1624-48)の建築。内部は八角形の回転式輪蔵(経巻棚)の小引出しに一巻ずつ経典が収められています。輪蔵を一回転させれば全巻を読経したのと同じ功徳とされました。輪蔵の彫像や壁の彩色画が色鮮やかに残っています。小引出しに振られた文字を縦に読むと「夫唱婦随」になる部分があるので、探すと面白いかも知れません。
さらに、世界遺産の龍安寺(臨済宗妙心寺派)へ。石庭(国史跡・特別名勝、通年公開)を見た後、10年ぶり特別公開の仏殿と西の庭を見学。
仏殿は、江戸期に焼失しましたが、古絵図に基づき昭和56年に再建。太い檜の柱に支えられた高い天井には墨と金泥で「下り龍」が描かれ、釈迦如来像(鎌倉後期)や天皇家の位牌を祀っています。
西の庭は、室町期の回遊庭園を昭和57年に復元したもの。龍安寺を創建した細川勝元(室町幕府三管領の一人)像と歴代細川管領の位牌を祀った廟があります。
しかし、龍安寺と云えばやはり石庭です。観光客が少ない分、存分に縁側に座って石庭の趣を楽しむことができました。
なお、龍安寺での特別公開は、3/10以降は茶室「蔵六庵」と115年ぶりに里帰りした襖絵「群仙図」に切り替わるそうで、こちらも興味深いです。
次は洛東の智積院から洛中の寺々を巡ります。
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