成田・迎接寺の鬼舞面
成田市下総歴史民俗資料館の企画展「迎接寺の鬼舞面」に行ってきました。
旧下総町冬父(とぶ)の迎接寺(こうしょうじ)は、平安初期に創建された古寺で、かつて鬼面判断法会(鬼の舞)が伝わっていました。
もとは平安中期に高僧源信が地獄を巡る霊夢を見て12枚の鬼面を彫り、観音菩薩が衆生を救うために三十三身に変化することにちなみ、33年に一度「鬼の舞」を行ったのが始まりとされます。
地獄に落ちた亡者(幽霊)が閻魔大王の責め苦に苦しみ、最後は観音菩薩に救われる仏教劇で、広済寺(横芝光町)の「鬼来迎」(国重文)より問答や台詞に重きが置かれていたそうです。
江戸期に三度の大火で記録を焼失し詳細は不明ですが、戦国期の永禄7年(1564)から昭和22年(1947)まで13回行われた記録が残っています。
ただ、昭和22年にはすでに古い台本が失われ、古老や住職から聞き書きして新しく台本を作り、地方の劇団が演じたので本来の内容とはかなり異なったようです。
舞は昭和22年を最後に廃絶し、次の昭和55年(1980)には面13枚(1枚は後世の追加)と衣装の公開だけでした。今年は本来の開催年に当たり、面13枚が公開されています。
古い面たちは、どれも迫力があり、本来の出番がないのが悔しそうに見えました。今回は衣装の展示がないのが残念ですが、詳細な説明と分かり易い台本(ダイジェスト版)のおかげで、かつて舞われた重厚な仏教劇が目に浮かぶようでした。
この企画展は下総歴史民俗資料館で12月15日(日)まで開催中です。
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