キャパとタロー、二人の写真家展
横浜美術館で開催中の「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー、二人の写真家」展に行ってきました。
キャパといえば、世界的に有名な報道写真家です。
この「キャパ」という写真家が、初めはハンガリー生まれのアンドレ・フリードマンとドイツ人女性のゲルダ・タローが二人で考え出した架空の人物だったことは、あまり知られていません。
ヨーロッパに第二次大戦への足音が近づく1930年代、無名の二人の報道写真家は、迫害から逃れたパリで知り合います。スペイン内戦の取材を通じて、お互いに欠かせないパートナーとなりました。
二人は、自分たちの写真を売り込む策として、アメリカ人の売れっ子写真家「ロバート・キャパ」なる人物を創り出します。この方法は成功し、やがてフリードマン自身が「キャパ」として活動するようになり、タローも独立した写真家として成功しました。
ところが、二人が出会ってわずか5年後、タローはスペイン内戦の取材中、27歳の生涯を閉じます。キャパは大きなショックを受け、その作風を大きく変えたと云われています。その後、キャパは、第二次大戦で各戦線を取材し、大戦後のインドシナ戦争で取材中に地雷を踏んで落命しました。タローの死から17年が経っていました。
今回の写真展は、キャパことフリードマンの生誕百周年を記念して、国内でも有数のキャパ・コレクションを持つ横浜美術館が、知られざるタローの作品とともに、二人の個展として開催しています。
二人の個性と作風がよく分かり、とても見応えのある写真展になっています。
キャパの名作「崩れ落ちる兵士」も展示されています。コルドバ戦線で撃たれた兵士を撮った瞬間とされますが、実は丘で足を滑らせた兵士をタローがローライフレックスで撮ったとも云われる謎の多い作品で、とても興味深かったです。
この写真展は3月24日(日)まで開催中です。
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