明和・齋宮歴史博物館
二見から国道23号線を北上し、明和町にある齋宮歴史博物館(県立)を訪ねました。
この博物館は、飛鳥期から鎌倉期までの約六百六十年間、天皇家の未婚の女性が伊勢神宮の神に仕えた「齋王」(さいおう)制度について詳しく展示しています。
齋王は、天皇の即位ごとに占いで選ばれ、伊勢に派遣されました。都から伊勢に赴く行列は、五百人以上の従者を従え、葱華輿に揺られて5泊6日かけて群行しました(左の写真)。
伊勢に近いこの地には、齋王の宮殿や官所(齋宮寮)として、齋宮(いつきのみや)が置かれました。齋王は、齋宮に常駐し、伊勢神宮で行われる6月と12月の月次祭、9月の神嘗祭に天皇の名代として出仕しました。
齋王の優美な生活は、伊勢物語や大和物語、源氏物語などの古典文学に描かれています。ただ、任期は譲位や崩御で天皇が替わるまでだったので、いったん都を離れると永く戻れなかったようです。
齋宮は、平安期に最盛期を迎え、朝廷の力が衰え武家が台頭した鎌倉期には荒廃し、鎌倉幕府が崩壊した1336年ころに廃絶しました。
博物館では、1038年に齋王として赴任した後朱雀天皇の皇女・良子(ながこ)内親王の記録(藤原資房の日記「春記」)をもとに、齋王群行の様子を再現した映像展示をしています(下の写真はそのパンフレット)。
時代ドラマのようで完成度が高く、この再現映像展示を見てから館内を回ると、齋王のことがよく分かりました。
このほか、音声ガイダンス(有料)を聴きながら展示を見ると、とてもよく理解できておすすめです。
鎌倉期以降が中心の関東ではほとんど知られていない「齋王」。旅の最後に思わぬ発見がありました。
今回の伊勢の旅はこれで終わり。帰路は松阪ICから高速に乗り、途中、四日市付近で大渋滞に巻き込まれ、東京着は午前1時。自宅には午前1時半に到着しました。
妻と交互に運転したので意外と疲れが少なく、満足度の高い旅でした。
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