涙雨
中学校の同窓会で広島に行ってきました。
私にとって,中学~高校時代を過ごした広島は,想い出が詰まった大事な街です。18歳で広島を離れてからは,なかなか訪れる機会がありませんでした。旧友が上京した時,東京で昔話に花を咲かせることはあっても,中学の同窓会はずっと欠席でした。
今回,恩師の80歳のお祝いで集まることになりました。この年齢になると,今の自分があるのは本気で叱ってくれた先生や親のおかげだと素直に思えます。先生が元気なうちにぜひお礼をと思って広島入りしました。
広島は,朝から雨でした。高い建物が増え,新しい道路ができ,街の様子はすっかり変わっていました。でも,同窓会場では,30年ぶりに会う旧友たちが,あの頃のまま迎えてくれました。花束と記念品を用意して,みんなで賑やかに先生の到着を待ちました。
しかし,先生はなかなか現れませんでした。心配した幹事が電話を入れると…,なんと先生は1週間前に倒れて急逝されたとのこと。突然の悲報に,みんなで大いに泣き,先生を偲んで大いに語りました。幹事と先生のお宅へ伺い,花束と記念品,みんなの写真をお供えしました。祭壇で微笑む先生の前で,これまでの無沙汰を詫び,心からお礼を言いました。
夜,広島を出るころ,雨が激しくなりました。懐かしい旧友たちと会い,先生の遺影に直接お礼を言うことができたので,広島に行って本当によかったと思いました。
ずっと雨だったのは,同窓会を楽しみにしていた先生の涙雨だったのでしょう。
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