2024/02/04

永遠の都 ローマ展

福岡市美術館で開催中の「永遠の都 ローマ展」に行ってきました。

20240204_300二千年を超える歴史と比類なき文化を育んだローマ。この展覧会は、世界で最も古い美術館の一つ、カピトリーノ美術館が所蔵する古代~17世紀の彫刻・絵画・版画を中心に約70点を展示して、永遠の都ローマの歴史と芸術をたどります。

展示は「1 ローマ建国神話の創造」「2 古代ローマ帝国の栄光」「3 美術館の誕生からミケランジェロによる広場構想」「4 絵画館コレクション」「5 芸術の都ローマへの憧れ」の5部と、特集展示「カピトリーノ美術館と日本」で構成。

有名な「カピトリーノの牝狼」(複製)、「ボルセナの鏡」(BC4)、「コンスタンティヌス帝の巨象」(部分、複製)、「老女像」(AD2)、「マイナスを表す浮彫の断片」(BC1~AD1)などが目を引きます。

残念ながら、古代ローマ彫刻の傑作「カピトリーノのヴィーナス」(AD2)はありませんでしたが(東京展のみ出品)、バロックを代表する画家カラヴァッジョの「洗礼者聖ヨハネ」(1602)は日本初公開(福岡展のみ出品)。
今回の展示を通じて、牝狼と双子のモチーフがローマの原点とされる理由がよく分かりました。

この展覧会は、福岡市美術館で3月10日(日)まで開催中です。

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2024/01/28

世界遺産 大シルクロード展

福岡アジア美術館で開催中の「世界遺産 大シルクロード展」に行ってきました。

20240128_300日中友好45周年の記念企画で、シルクロードの世界遺産登録(2014)後、初めて中国国外で開催される大規模展です。

古代から東洋と西洋を結ぶ重要な交易ルートで、多様な民族と文化が融合したシルクロード。
今回、洛陽、西安、蘭州、敦煌、新疆など各地で発見されたシルクロードの至宝が来日。金銀宝飾、青銅器、ガラス、陶磁器、壁画、絵画、染織、経典、仏像など、中国の一級文物(国宝)45点が公開されています。

展示は第1部「民族往来の舞台~胡人の活動とオアシスの遺宝」、第2部「東西文明の融合~響き合う漢と胡の輝き」、第3部「仏教漸の遥かな旅~眠りから覚めた経典と祈りの造形」で構成。
隊商を組み砂漠を往来した胡人(騎馬遊牧民族)がもたらした金杯の造形。砂漠のアスターナ古墳群から出土した絹織物に、乾燥した砂漠のおかげで古代の繊維も朽ちずに残ることに驚きます。漢~唐、特に多民族国家だった唐時代の、西方の造形と唐風の装飾が融合した精緻な工芸品が目を引きました。

この企画展は、東京富士美術館と中国9省2自治区の27博物館・研究機関が協力。一級文物(紀元前8~11世紀)と、日本が遣唐使で学んだ唐の文化を体感できて、見応えがありました。

大シルクロード展は、福岡アジア美術館で3月24日(日)まで開催。その後、東北歴史博物館~愛媛県美術館~岡山県立美術館~京都文化博物館と巡回します。

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2023/11/18

企画展示「陰陽師とは何者か」

国立歴史民俗博物館(佐倉市)で開催中の企画展示「陰陽師とは何者か」に行ってきました。

20231118太陰暦(旧暦)が使われなくなり150年。この展覧会は、暦と陰陽道の歴史を振り返り、その育んだ文化を探る企画です。

古代中国の陰陽五行思想は、6世紀前半、百済から倭国に伝来。先進の天文・暦・易の知識は、朝廷の判断に大きな影響力を持つようになります。7世紀、陰陽寮が置かれ天文・暦・占を司る官人(陰陽師)が登場しました。

律令制下、陰陽道は宮廷社会の隅々まで浸透。平安中期(10世紀)には世襲寡占化が進み、賀茂忠行(賀茂家)と安倍晴明(安倍家)の二人が栄華を極めます。

武家政権下では、実利重視で陰陽道は衰退。賀茂家・安倍家は自領に戻り、勘解由小路氏・土御門氏を名乗ります。足利将軍家が土御門氏を登用しますが、戦国の世に陰陽道は失権。知識が民間に流出し、怪しげな加持祈祷や占いで渡り歩く民間陰陽師が出現します。

江戸幕府は土御門氏を陰陽道宗家として迎え、民間陰陽師を統制。土御門氏は、幕府公認で陰陽師を独占的に束ね、将軍家の儀礼に欠かせない存在となり全盛を誇ります。平安期の祖・安倍晴明の神格化が進んだのも同時期です。

陰陽師とは、先端の科学(天文学)に基づく分析(暦)で助言(易)する役割を忠実に果たそうとしたプロ集団でした。怪しげなイメージで語られがちな陰陽師の実相がよく分かり、シャーマニズムと日本人の宗教観についても考えさせられました(文字資料多め)。

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2023/10/29

久留米ちくご大歌舞伎

久留米シティプラザで開催された「久留米ちくご大歌舞伎」を撮影。

20231029久留米歌舞伎とのつながりは、260年前、七代藩主有馬頼徸が五穀神社建立の際、歌舞伎の興行が行われたと伝わります。

市民による公演は昭和45年(1970)に始まり、今回はコロナ禍で4年ぶり50回目の節目公演です。

演技指導は人間国宝の二代目中村又五郎丈(1979~2008)、十代目坂東三津五郎丈(2009~2014)と受け継がれ、現在は二代目松本白鸚丈が監修。市民による本格歌舞伎で、舞踏家の花柳貴答さん・花柳津祢里さんが稽古を付けています。

この日の演目は「菅原伝授手習鑑(車引)」「白浪五人男(稲瀬川勢揃いの場)」「双蝶々曲輪日記(角力場)」「御楽歌舞伎吹寄(二人藤娘、三人吉三巴白浪(大川端庚申塚の場)、末広がり)」。演者は小学生~80代までの50人で、稽古は6月から始め、2週間前に合同稽古を行いました。

本番は、本格的な舞台道具と衣装、素人とは思えない熱演で、驚いたり感心したり。台詞を間違える場面も、市民歌舞伎ならではのご愛敬です。

かつて各地で盛んに行われた農村歌舞伎・市民歌舞伎は、時代の流れとともに徐々に姿を消しました。この大歌舞伎は、幅広い市民が参加して末永く続いて欲しいと思いました。

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2023/10/07

特別展「古代メキシコ」

九州国立博物館で開催中の特別展「古代メキシコ 」展に行ってきました。

20231007BC1500年のオルメカ文明に始まり、1697年にマヤ文明がスペイン侵攻で滅びるまで、3千年以上も栄えたメキシコの古代都市文明。

この特別展では、代表的な文明として、マヤ(BC1200~1697)、テオティワカン(BC100~550)、アステカ(1325~1521)の3つに焦点をあてて紹介しています。

火山の噴火や地震、干ばつ、他国との戦争など厳しい環境の中で、人々は神に祈り畏怖しながら、天文・暦法・文字を発達させ、王墓や神殿、ピラミッドなど壮大な建造物を築きました。

各文明が育んだ独自の世界観と造形美を伝える約140点の至宝が来日。特に、マヤの都市国家パレンケの黄金時代を築いたパカル王朝(615~683)の妃「赤の女王」(レイナ・ロハ)の副葬品は、日本初公開です。

古代メキシコ文明の奥深さと魅力に迫った展覧会で見応えがありました。この日は夜間開館で人も少なく、じっくりと見ることができました(場内は写真撮影可)。

この特別展は、東京、福岡、大阪の巡回展で、九州国立博物館では12月10日(日)まで開催中です。

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2023/03/05

特別展「伽耶」

 九州国立博物館で開催中の特別展「伽耶」に行ってきました。

20230304「伽耶」は、3~6世紀に朝鮮半島南部に存在した王国群の総称です。
高句麗・新羅・百済の強国が割拠し、倭国ではヤマト政権の古墳時代に当たります。

古くから鉄の産地で、3~4世紀は「金官伽耶」を盟主に、新羅・百済、中国、倭(弥生時代)と対外交易を展開。5世紀に高句麗が侵攻すると、「大伽耶」が高句麗と連携し、百済を牽制。中国(南斉)に朝貢し「輔国将軍本国王」の地位を得るなど、外交上手でした。

6世紀、百済が伽耶に侵攻すると、新羅と同盟して対抗しつつ、任那日本府の倭国(ヤマト政権)に加勢を求めました(倭では派遣を巡り「磐井の乱」(527)が勃発)。

しかし新羅が同盟を破って侵攻し、「金官伽耶」が降伏。伽耶連合は内部分裂し、「大伽耶」が新羅に服属(562)して消滅しました。

この特別展は、韓国国立中央博物館、国立歴史民俗博物館と九州国立博物館の主催です。日韓の研究成果を反映した「伽耶の興亡」と、九州展では「渡来人」を加えたテーマ構成になっています。
渡来人と倭人が共存した倭国の社会を俯瞰し、伽耶が倭国の文化形成に与えた影響について、最新の研究成果を紹介しています。

伽耶をテーマにした展覧会は、国内では30年ぶり。展示は、紀元前3世紀~6世紀の鉄・金・木工製品や土器など273点(うち韓国宝物3、国重文11、県文化財40、市町村文化財4)に及び、見応えがありました。
千葉県から、市原・山倉1号墳出土「渡来人形埴輪」(県文化財)が出展されています。

この特別展は、九州国立博物館で3月19日(日)まで開催中です。

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2023/02/12

「竹久夢二」展

佐賀県立美術館で開催された「竹久夢二」展に行ってきました。

20230212a竹久夢二(1884~1934) は、大正浪漫期を代表する画家です。

夢二は、岡山県に生まれ、16歳のとき福岡県に移住。17歳で単身上京し、苦学しながら投稿した雑誌や新聞の挿画が評判になりました。25歳で発表した「夢二画集・春の巻」(明治42年)が大ヒット。国内外で精力的に作品を発表しました。

洋風に和の抒情性を採り入れたモダンな「夢二式美人画」 が人気で、出版物の挿絵や表紙を手掛けるグラフィックデザイナーの先駆けでもありました。

この展覧会は、「佐賀で巡り合う大正浪漫の世界」がサブタイトルの新春特別展です。九州初公開の「南枝早春」「春の夜」(いずれも昭和初期)、「薔薇 画賛」「ホームソング」(いずれも大正15年頃)など、約209点の作品を紹介しています。

夢二が愛用した「ベス単」(ベスト・ポケット・コダック)で撮った写真が面白かったです。スナップ的な行動記録と、絵の構図の研究用に撮影した写真だそうですが、シャッターを押す瞬間の心象が伝わってきました。

この日は会期の最終日で、年代を問わず大勢の観客で盛況でした。

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2022/12/18

「バンクシーって誰?」展

福岡アジア美術館で開催中の「バンクシーって誰?」展に行ってきました。

20221218a英国・ブリストルの街で1990年代にストリート・アートを描き始めたとされるバンクシー。
世界各地で、政治的・社会的事象を痛烈に風刺したアートを残すゲリラ的な表現活動で知られますが、正体は謎のままです。

この展覧会は、世界各国で好評を博した「ジ・アート・オブ・バンクシー」展の傑作群を、独自の切り口で紹介した日本オリジナルの企画です。コレクター所蔵のアトリエ作品のほか、バンクシーの主戦場=ストリートを丸ごと再現した展示(没入展示)が見どころです。

写真は、2002年、ロンドン・ウォータールー橋の階段に描かれた「Girl with Balloon」(赤い風船と少女)の再現。この絵のアトリエ作品は、ザザビーズのオークションで落札(約1億5000万円)された瞬間、バンクシーによって額に仕組んだシュレッダーで切り刻まれ、大きな話題となりました。

ストリート作品には、その時代にその場所で描かれた理由があります。街並みごと再現することで、その時代背景と空気感を疑似体験でき、作品に込められた意味を深く考えさせられました。

この企画展は、東京など5都市を巡回し、福岡で3月26日(日)まで開催中です。

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2022/10/15

特別展「ポンペイ」

九州国立博物館で開催中の特別展「ポンペイ」に行ってきました。

20221015ポンペイは、古代ローマの植民市で、貴族~奴隷まで老若男女1万2000人が暮らす港湾商都でした。

紀元79年、ベスビオ火山の大噴火で一夜にして火山灰に埋もれて消滅。1748年に発見されるまで、完全に地中に封印されていました。

今回の特別展は、ナポリ国立考古博物館が所蔵する出土品をメインに、日本初公開を含む約120点の出土品を展示しています。

展示は、「序章 ベスビオ山噴火とポンペイ埋没」「1 ポンペイの街~公共建築と宗教」「2 ポンペイの社会と人々の活躍」「3 人々の暮らし~職と仕事」「4 ポンペイ繁栄の歴史」「5 発掘のいま、むかし」の5テーマに分けて紹介。

個人的には、女性犠牲者の石膏像は衝撃でした(ポンペイの犠牲者は2000人、その多くが邸内に避難した富裕層だそうです)。

邸宅の壁を飾ったフレスコ画、床を飾ったモザイク画の精巧さに驚嘆し、炭化したパンに庶民の日常を想い、剣闘士が使った兜や膝当てに円形劇場の熱狂が伝わりました。

古代ローマの都市の繁栄と人々の暮らしが生き生きと蘇る好企画です。

この特別展は、東京→京都→宮城と巡回して、九州が最後。九州展は12月4日(日)まで開催中です。

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2022/10/02

「鳥獣戯画と愛らしき日本の美術」展

福岡市美術館で開催中の「国宝鳥獣戯画と愛らしき日本の美術」展に行ってきました。

20221002鳥獣戯画は、京都・高山寺に伝わる四巻(甲・乙・丙・丁)の絵巻物です。

甲巻は擬人化した動物が、乙巻は実在と空想の動物が、丙巻は人物と擬人化した動物が、丁巻は人物のみが描かれています。甲・乙巻は平安後期の、丙・丁巻は鎌倉初期の作と考えられていますが、誰が何のために描いたのかは不明だそうです。

今回の展覧会は、鳥獣戯画に連なる「動物」と「簡潔な表現とユーモア」を描いた作品がテーマです。「1章 祈りにはぐくまれしいのち」「2章 いのちへのまなざし」「3章 引き算の美」「4章 心を伝える」の4部構成で64点を展示しています。

訪れた日は後期展示(9/27~)で、鳥獣戯画の乙巻と丙巻が展示されていました。10m前後の長い巻物ですが、解説と対比して楽しく見学できました。江戸期に描かれた戯図巻や略画式も、笑える内容で面白かったです。

次はぜひ鳥獣戯画の甲巻と丁巻も見てみたい…と思いました。この展覧会は、福岡市美術館で10月16日(日)まで開催中です。

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