2018/05/05

房総の出羽三山信仰

睦沢町歴史民俗資料館で開催中の企画展「房総の出羽三山信仰」に行ってきました。

20180505

この企画展は、房総に伝わる出羽三山信仰を、一宮町・大日堂行屋(2016年11月廃絶)と、長南町・芝原行屋(現行)の修行の様子などを関連資料で紹介しています。

千葉県は、関東地方でも出羽三山(月山・湯殿山・羽黒山)信仰が盛んな地域です。かつては、一生に一度は三山に参詣するのが通過儀礼とされ、その背景には「擬死再生」(死装束である白衣をまとい、一度他界(三山)に行って再び生まれ変わることにより、特別な力を獲得する)の考え方がありました。
現在も、市原~長生郡にかけて多くの講があり、三山に代参する行人は、出立前の数日間、行屋(修行場)に梵天を立てて籠もり、厳しく身を浄めます。

展示は、廃絶した一宮町・大日堂行屋の内部を再現し、祀られた掛軸、御神鏡や御幣、五鈷鈴や弘法大師像を展示したコーナーのほか、芝原行屋での拝みの様子、実際に使われた行衣・金剛杖や梵天、宿坊の関東檀家回りで配られた牛図の神札など、資料館が収蔵する出羽三山関係資料600点の中から特に貴重なものを公開しています。
仏画と神号の掛軸を祀り、仏具と神具が混在しているので、神仏習合時代から続いたことが分かります。

祭事撮影で訪れる神社の多くに出羽三山碑が立ち、大日堂行屋廃絶の記事を見かけてから、出羽三山信仰とは?と気になっていました。行屋の内部が公開されることは稀なので、今回の企画展はとても興味深かったです。

企画展「房総の出羽三山信仰」は、6月3日(日)まで開催しています。

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2018/03/09

仁和寺と御室派のみほとけ展

上野・東京国立博物館で開催中の「仁和寺と御室派のみほとけ」展に行ってきました。

20180309この特別展は、京都・仁和寺(真言宗御室派総本山)と御室派の寺院が所蔵する寺宝174点(うち国宝24点、国重文75点)を集めた特別展です。

仁和寺は、仁和四年(888)、御願寺(皇室の私寺)として宇多天皇が創建し、自らも出家して法皇となりました。その僧房を「室」と称したので「御室」と呼ばれ、明治維新までは法王・法親王が門跡を務めました。
歴代天皇家とゆかりが深く、また、真言密教の事相(修法の作法など実践を研究)の拠点として数多くの寺宝を伝えています。
ちなみに、千葉つながりでは、成田山新勝寺を開いた寛朝大僧正は宇多法皇の孫で仁和寺別当でした。

展示は、第1章「御室仁和寺の歴史」、第2章「修法の世界」、第3章「御室の宝蔵」、第4章「仁和寺の江戸再興と観音堂」、第5章「御室派のみほとけ」のテーマ別に構成。

第1章では、空海の息遣いを感じさせる国宝「三十帖冊子」(9世紀)、白檀で体高わずか11cmの国宝「薬師如来坐像」(1103)、第2章では、国宝「孔雀明王像」(10~11世紀)、奈良・子島寺の国宝「両界曼荼羅」(10~11世紀)、第3章では、国宝「医心方」(12世紀)、「鳥獣戯画」(18~19世紀)、京都・大福光寺の重文「方丈記」(13世紀)、大阪・金剛寺の国宝「延喜式」(12世紀)などが印象的でした。
第4章では、何といっても現地非公開の観音堂内を再現した展示が圧巻(上の写真、撮影も可)。現地の観音堂が改修工事中だからこそ可能になった企画でしょう。
第5章では、仁和寺の本尊で国宝「阿弥陀如来坐像と両脇侍立像」(888)、一木造りとは思えない大阪・道明寺の国宝「十一面観音菩薩像」(8~9世紀)、1041本の手を持つ大阪・葛井寺の国宝「千手観音菩薩像」(8世紀)などが興味深かったです。精巧な造りと豪華な装飾は、平安期の官営工房ならではの特徴だそうです。

仁和寺は2015年に金堂(旧紫宸殿)と経蔵の特別拝観で訪問しています。今回は、混雑を避けるため夜間開館日を利用しましたが、さすがに会期末が近かったので閉館時間(21時)ぎりぎりまで大勢の人でした。
この特別展は、3月11日まで開催されています。

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2017/11/23

東京二期会オペラ「こうもり」

妻と一緒に、日比谷・日生劇場で公演中の東京二期会オペラ「こうもり」を観に行ってきました。

201711231874年にヨハン・シュトラウスが、富と快楽に耽る当時のウィーンの世情を風刺したオペレッタ(ミニオペラ)で、貴族社会の恋と浮気と復讐を面白おかしく描いた喜劇作品です。

今日は公演二日目で、出演は、又吉秀樹(銀行家アイゼンシュタイン)、嘉目真木子(妻ロザリンデ)、吉田連(間男アルフレード)、三井清夏(小間使いアデーレ)、辰巳真理恵(その姉イダ)、杉浦隆大(刑務所長フランク)など。
日本人キャストなので台詞は日本語ですが、歌はドイツ語に字幕で原作の雰囲気が味わえます。酔っ払いの看守役がイッセー尾形(フロッシュ)で、後半に独り芝居の場面があって観客を湧かせていました。

日生劇場は初めてでしたが、大理石のホールといい、アコヤ貝で装飾された天井の客席といい、素晴らしいシアターです。今回、下の娘が上等な席をプレゼントしてくれたので、キャストの声量・演技と生オーケストラの演奏を存分に楽しめました。客席で俳優・辰巳琢朗さんを見かけたのは、きっと娘さん(イダ役)の演技を見に来たのでしょう。

終演後、何度もカーテンコールに応えるキャストと演出家に、満員の観客から盛んにブラボーの声が飛んでいました。

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2017/08/23

タイ・仏の国の輝き展

妻と一緒に、上野・東京国立博物館で開催中の「タイ~仏の国の輝き」展に行ってきました。

20170823この特別展は、日タイ修好130周年を記念した巡回展(九州→東京)です。

タイの17国立博物館が所蔵する門外不出の仏教美術コレクションを、「タイ前夜 古代の仏教世界」「スコータイ 幸福の生まれ出づる国」「アユタヤ 輝ける交易の都」「シャム 日本人の見た南方の夢」「ラタナコーシン インドラ神の宝庫」の5つのテーマに分けて紹介しています。

タイに仏教が伝わったのは、日本より早い5世紀ころ。古来のヒンズー教と融和したり、王朝の変遷(ドヴァーラヴァティー王朝(7~9世紀)→アンコール王朝(9~13世紀)→スコータイ王朝(14~15世紀))とともに王権と密接につながっていきました。強大なアユタヤ王朝(15~18世紀)は、仏法をもって国を治め、偉大な王を表した「宝冠仏陀坐像」(王族の装飾を身に纏った仏陀像)が作られたりしました。

タイは国民の95%が仏教徒だそうですが、日本の大乗仏教(他力本願)と異なり、上座仏教(自身が仏陀の教えを実践することで修行し、修行を積むほど救われる)で、仏像=仏陀像ですから如来像や菩薩像はありません。
スコータイ期の「遊行像」(歩いている仏陀像)も、日本では見ない珍しい形態で必見です。

日本にいながら、古代~近代までのタイ仏教美術を体感できる貴重な機会です。

この特別展は、8月27日(日)まで開催しています。

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2017/08/12

アルチンボルド展

妻と一緒に、上野・国立西洋美術館で開催中の「アルチンボルド展」に行ってきました。今回は下の娘も一緒です。

20170812アルチンボルド(1526-1593)は、16世紀後半にハプスブルク家の宮廷画家です。
花や野菜・魚や動物を素材に組合せ、一つの肖像画を描き上げる手法は、当時のローマ皇帝や貴族に大変気に入られたと云います(パンフレットの写真は、連作「四季」の「春」)。

ルネサンスの徹底した写実主義と、ハプスブルグ家の富と覇権がもたらした世界中の珍しい動植物・魚介類が、作風に大きく影響しています。

後世、「騙し絵」と呼ばれることも多いアルチンボルドですが、よく見ると、緻密な観察眼+優れた写実技法+斬新な感性+論理的思考が一体となり、宮廷の知識人に向けて知略的に描いた作品ばかりで、単に奇をてらった「寓意的」な絵ではないことが分かります。

この企画展は、日本で初めて、世界中からアルチンボルドの作品30点ほかを集めて展示しています。特に、代表作の連作「四季」(春・夏・秋・冬)と「四大元素」(大気・火・大地・水)が一度に見られるのは奇跡的。
展示室前のコーナー「アルチンボルド・メーカー」は、カメラ前に立つとアルチンボルド風の自画像を自動作成するギミックが面白いです。

アルチンボルド展は、9月24日(日)まで開催しています。夜間開館の時間帯(金・土)は混雑していないのでお勧めです。

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2017/07/09

レ・ミゼラブル 30周年記念公演

妻と一緒に、日比谷・帝国劇場で日本初演30周年記念公演中のミュージカル「レ・ミゼラブル」を観に行ってきました。

20170709ヴィクトリア・ユゴー原作の「レ・ミゼラブル」(1862)は、パンを盗んで投獄された主人公ジャン・バルジャンの生涯を描いた物語で、正義とは?人とは?愛情とは?と色々考えさせられる作品です。
邦名「ああ無情」の名で教科書で習ったり、読書感想文を書いたりした人も多いかも知れません。

最近では、ヒュー・ジャックマン(ジャン・バルジャン)とラッセル・クロウ(ジャベール警部)主演の映画(2012)を見て、ミュージカルの方も気になっていたら、下の娘がチケットを取ってくれました。

今日は貸切公演日で、「満員御礼」でした。演者は上演日によって異なり、今日の出演は、ヤン・ジュンモ(ジャン・バルジャン)、吉原光夫(ジャベール)、和音美桜(フォンテーヌ)、小南満佑子(コゼット)など。悪徳宿の女将役が森公美子(マダム・テナルディエ)で、時にマイクを通さない声量で観客を湧かせていました。

帝劇でミュージカルを観るのは初めてでしたが、生オーケストラの演奏と舞台俳優の演技は、映画やTVとは違って本物の迫力があります。終演後の舞台挨拶と、何度もカーテンコールに応えるキャストの姿は感動的でした。

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2017/01/27

祝いの民俗~ハレの造形~展

埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催中の「祝いの民俗~ハレの造形~」展に行ってきました。

20170127この企画展は、埼玉県内に伝わる祝いの民俗を、ハレの日に用いる飾りや神を迎える道具、衣装など193点で紹介しています。

テーマごとに、「祝いの意匠」では水引の宝船や神酒口、華やかな引札が、「謹賀新年」ではハナ(座敷飾り)が、「人生の節目と祝い」では底抜け柄杓や鴻巣の赤物、五十五の団子や長寿銭が、「新造の祝い」では上棟の幣串と雁股矢、船おろしの船霊さま一式が、いずれも珍しくて興味深かったです。

右のチラシに描かれているのは、正月に商人がお得意様に配った引札です。長く家に貼ってもらえるように、華やかでめでたい図柄が好まれ、左の余白には店名や商品名を刷り込みました。

会場では、川越市古谷本郷の「ほろ(母衣)祭り」の背負い飾りの展示がひと際目を惹きます。これはぜひ9月に現地を訪れて見学したいと思いました。

房総では見かけない風習もあって、地域差がよく分かり、大宮まで遠征した甲斐がありました。この企画展は、1月2日(月)~2月12日(日)まで開催しています。

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2016/12/18

平安の秘仏(櫟野寺)展

妻と一緒に、上野・東京国立博物館で開催中の「平安の秘仏~滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」展に行ってきました。

20161218bこの特別展は、甲賀の里にある櫟野(らくや)寺が所蔵する平安期の仏像20体(全て国重文)を、初めて寺外で展示した企画展です。

日本に仏教が伝わったのは6世紀ころ。当初、仏像は主に銅や石で造られました。全国に広まるに連れ、日本人に馴染み深い木で造るようになったとされます。
櫟野寺の仏像たちは、平安期の10〜12世紀ころの木像仏で、時代とともに製法が一木造り→内刳り→寄木造りへと変化する様子がよく分かります。

秘仏の御本尊は、日本最大の十一面観音菩薩坐像で圧巻(次回開帳は平成30年予定)。普段は寺の収蔵庫に納められ、なかなか見ることができない平安の秘仏たちを一度に見られる貴重な機会です。現地の収蔵庫が改修工事中だからこそ可能になった企画でしょう。

この企画展は、12月11日終了予定でしたが、1月9日まで会期延長中です。

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2016/12/03

出発進行~ちばの鉄道展

市川・現代産業科学館で開催中の「出発進行~もっと・ずっと・ちばの鉄道」展に行ってきました。

20161203この企画展は、県内の鉄道路線の歴史と魅力のほか、安全性や信頼性を支える高い技術について紹介しています。

舟運から鉄道への発展を古い写真パネルで解説した「ちばの鉄道物語」、県内を走る全路線を紹介した「ちばで活躍する鉄道」、車両や台車・モーター・ブレーキなどをカットモデルや模型で解説した「走るしくみ」、線路やレールを説明した「線路のしくみ」、そして鉄道ダイヤの組み方を解説した「走らせるしくみ」などのコーナーがあります。

私は電車を撮らないので鉄道は詳しくはありませんが、いつも電車通勤ですから、身近な電車の仕組みや信号の意味、非常通報ボタンを押すとどうなるのかなど、鉄道のトレビア的知識が得られて面白かったです。

実車展示は、人車鉄道長南線の客車(茂原市立郷土資料館蔵)、大正11年製のデキ3電気機関車(銚子電鉄仲ノ町駅保存)が展示されています。

この企画展は、10/14(金)~12/4(日)まで開催しています。

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2016/11/13

企画展「公爵・徳川慶喜家」

松戸市の戸定歴史館で開催中の「公爵・徳川慶喜家」展に、妻と散歩がてら行ってきました。

20161113この企画展は、明治35年の公爵・徳川慶喜家の誕生と、大正~昭和と受け継いだ二代慶久、三代慶光の足跡と家族の暮らしを紹介し、戦後、華族制度廃止により公爵家の終焉までの歴史を初公開資料50点余を交えて辿っています。

展示は、「慶喜、その前半生」(将軍後見職、禁裏守衛総督、征夷大将軍時代の慶喜)、「公爵家創設前夜」(29年間の隠棲生活)と振り返り、「公爵家の誕生と継承」では、公爵授爵の背景と明治の体制に組み込まれる意味を取り上げています。
「国際派公爵と有栖川宮家最後の王女」では、国際交流で活躍した二代慶久とその妻・有栖川宮実枝子妃の暮らしを紹介し、「少年公爵と妃殿下」では、父の急逝で9歳で跡を継いだ慶光と、幼い弟を支えた喜久子妃(高松宮妃)の暮らしを、戦争へと動く時代の中で振り返ります。「公爵家の終焉」では、慶光の出征と帰還を経て、華族制度廃止と公爵家の終焉を見つめます。

松戸は、最後の水戸藩主・徳川昭武(慶喜の弟)の邸宅が現存する関係で、戸定歴史館は江戸~明治の慶喜・昭武関連の展示が秀逸ですが、今回も珍しいテーマを掘り下げた企画で勉強になりました。

「公爵・徳川慶喜家」展は、前期が11/13(日)まで、後期が11/15(火)~12/23(祝)までです。

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