2022/10/02

「鳥獣戯画と愛らしき日本の美術」展

福岡市美術館で開催中の「国宝鳥獣戯画と愛らしき日本の美術」展に行ってきました。

20221002鳥獣戯画は、京都・高山寺に伝わる四巻(甲・乙・丙・丁)の絵巻物です。

甲巻は擬人化した動物が、乙巻は実在と空想の動物が、丙巻は人物と擬人化した動物が、丁巻は人物のみが描かれています。甲・乙巻は平安後期の、丙・丁巻は鎌倉初期の作と考えられていますが、誰が何のために描いたのかは不明だそうです。

今回の展覧会は、鳥獣戯画に連なる「動物」と「簡潔な表現とユーモア」を描いた作品がテーマです。「1章 祈りにはぐくまれしいのち」「2章 いのちへのまなざし」「3章 引き算の美」「4章 心を伝える」の4部構成で64点を展示しています。

訪れた日は後期展示(9/27~)で、鳥獣戯画の乙巻と丙巻が展示されていました。10m前後の長い巻物ですが、解説と対比して楽しく見学できました。江戸期に描かれた戯図巻や略画式も、笑える内容で面白かったです。

次はぜひ鳥獣戯画の甲巻と丁巻も見てみたい…と思いました。この展覧会は、福岡市美術館で10月16日(日)まで開催中です。

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2022/09/18

雅楽「源氏物語」

妻と一緒に、久留米シティプラザで行われた「雅楽 源氏物語」公演に行ってきました。

20220918大名有馬家久留米入城四百年記念行事の一つで、平安王朝文学の最高傑作「源氏物語」に歌舞(うたまい)の曲を組み合わせた企画です。演奏は東京楽部(がくそ)、プロデュースは野原耕二さんでした。

公演に先立ち、旧藩主家十六代御当主(東京水天宮宮司)の挨拶と、その御息女(東京水天宮権禰宜)による奉納神楽「天之産」(あめのむすび)が披露され、十二単装束の雅な舞で観客を魅了しました。

第一部は管弦で、「盤渉調音取」(ばんしきちょうねとり)、「青海波」(せいがいは)、「越天楽」(えてんらく)の三曲。第二部は舞楽で、左舞の「萬歳楽」(まんざいらく)、右舞の「落蹲」(らくそん)の二舞でした。

雅楽は、律令制(880)によって日本独自の音曲の創作が始まり、約150年かけて完成したそうです。このため、日本古来の「国風歌舞」(くにぶりのうたまい)、外来ベースに日本化した「舞楽」、和歌や漢詩に曲を付けた「朗詠」(うたもの)の3つに分類されます。千年続く歴史的文化財として、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。

この日は、数十年に一度の猛烈な台風14号の接近で開催が危ぶまれましたが、大勢の観客が王朝絵巻を見守りました。

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2022/08/12

「二つの旅 青木繁×坂本繁二郎」展

東京・京橋のアーティゾン美術館で開催中の「ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎」展に行ってきました。

20220812

青木繁(1882-1911)と坂本繁二郎(1882-1969)は、ともに久留米出身で、同じ師の下で絵画を学びました。今回の展覧会は、二人の生誕140年を記念したアーティゾン美術館と久留米市美術館の企画展で、二人展としては、石橋正二郎が久留米に石橋美術館(現久留米市美術館)を開設(1956)した時の記念展以来、66年ぶりです。

展示は、第1章「出会い」(二人の出会い~上京後の親しい交際)、第2章「別れ」(二人の明暗を分けた1907年の東京勧業博覧会~青木の早逝)、第3章「旅立ち」(その後の坂本の歩み)、第4章「交差する旅」(二人に共通する画題と絶筆)の4部構成です。

天才肌の青木と努力家の坂本。性格も芸術性もまったく正反対だった二人の出会いから別れ、坂本の青木顕彰の動きとその後の画業を、館所蔵作品など約250点で俯瞰しています。

個人的には、青木が房州布良で描いた「海の幸」(1904)、命運をかけた「わだつみのいろこの宮」(1907)、絶筆の「朝日」(1910)の実物を見ることができ、感動しました。

この展覧会は、10月16日(日)まで開催中です。その後、久留米市美術館で10月29日(土)~翌1月22日(日)まで開催されます。

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2022/05/03

カジュアルなクラッシック音楽会

久留米シティプラザで行われた「高嶋ちさ子&加羽沢美濃カジュアルクラッシックスmeetsゆかいな音楽会」に、妻と一緒に行ってきました。

20220503高嶋ちさ子さんといえば、ヴァイオリニストの傍ら、TV番組のざわつく超絶トークで人気です。
ヴァイオリニストとしては、「観ても、聴いても、美しく楽しいヴァイオリンアンサンブル」をコンセプトに、クラッシックが身近に感じられるコンサート活動をされています。

今回も、超絶トークの解説を交えながら、「誰もが知っている曲」を「5分以内で演奏する」コンセプトで、気軽にクラッシックを楽しみながら、ヴァイオリンの技法も理解できるように、構成と演出がとても工夫されていました。

ピアニスト・作曲家の加羽沢美濃さんは、観客のリクエスト数曲を即興メドレーで演奏したり、アンコールで即興曲「久留米に来るのは大変だ」(GWの大渋滞で久留米入りが遅れて大変だったそう)を披露して拍手喝采でした。

高嶋組の藤堂昌彦さん(Vn)、森本安弘さん(Vn)、長石篤志さん(Va)、西方正輝さん(Vc)も、高嶋さんのトークに負けず劣らず、「歌って踊れる弦楽奏者」の楽しいパフォーマンスを披露して、ほぼ満席の場内は大爆笑。とても楽しい2時間でした。

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2022/04/02

毒薬と老嬢

久留米シティプラザで上演された演劇「毒薬と老嬢」に行ってきました。

20220402ジョセフ・ケッセルリング作のブラックコメディで、1941年からブロードウェイで3年半1444回、翌42年からウエストエンドで3年3か月1337回のロングラン上演された傑作です。

舞台は、第二次世界大戦下のブルックリン。旧家の屋敷に住む仲良し老姉妹アビーとマーサは町で評判の慈善家です。身寄りのないお年寄りに屋敷の部屋を貸し、手厚く施しをする二人。しかし、もてなしで振る舞う自家製の「ぼけ酒」にはある秘密がありました…。

今回の演出は錦織一清さん、主演のアビーを久本雅美さん、マーサを藤原紀香さんが演じています。老姉妹に振り回される人々として、同居の甥テディ(渋谷天笑)、その弟モーティマー(納谷健)と婚約者のエレーン(惣田紗莉渚)、エレーンの母ハーバー牧師(清水ひとみ)、悪い甥ジョナサン(室たつき)とその手下アインシュタイン(丹羽貞仁)、刑事ルーニー(笠原章)と巡査オハラ(嘉島典俊)・プロフィー(我善導)・クライン(鈴木翔音)、施設長ウィザースプーン(川端槇川二)ほかの皆さんが出演(画像は公式チラシ)。

セリフを関西弁にしての上演で、主演の二人のアドリブを交えた掛け合いが面白く、舞台挨拶でも久本雅美さんのギャグが冴え、大爆笑の3時間でした。

アフタートークでは、テディ(渋谷天笑)の司会でハーバー牧師(清水ひとみ)とオハラ巡査(嘉島典俊)が登場。楽しい舞台裏を明かしてこれまた拍手喝采でした。

この演劇は、東京・新橋演舞場→名古屋・御園座→福岡・久留米シティプラザ→札幌・道新ホール→大阪・松竹座で順次公演されています。

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2022/03/27

十人十色の音楽会

久留米シティプラザで開催された「十人十色の音楽会・ピアノコンサート」に行ってきました。

20220327福岡県出身の若手ピアニストで、いずれも久留米国際バッハ音楽コンクールで受賞歴のある恒松沙季さん(第3回平均律部門1位)、江藤花恵さん(第4回V部門1位)、吉村和弥さん(第5回グランプリ)の3人が出演。

〔曲目〕前半~バッハのイタリア協奏曲(恒松)、スカルラッティのソナタK487 (吉村)、モーツァルトのバターつきパン(恒松)、同きらきら星変奏曲(恒松)、ショパンの子犬のワルツ(恒松)、同ノクターン第2番(江藤)、同ノクターン第20番(江藤)、同雨だれの前奏曲(吉村)、同英雄ポロネーズ(吉村)。

後半~バタジェフスカの乙女の祈り(江藤)、ベートーヴェンのピアノソナタ悲愴(吉村)、同月光(吉村)、ブラームスのワルツ第15番(江藤)、シューベルトの即興曲第2番(江藤)、ドビュッシーのベルガマスク組曲より月の光(恒松)、同前奏曲第2集より花火(恒松)、リストのラ・カンパネラ(吉村)でした(敬称略)。

恒松さんは繊細な演奏、江藤さんは情熱的な演奏、吉村さんは力強い演奏とまさに十人十色で、久々に聞くピアノの生演奏に心が洗われました。明るい選曲が多い中、吉村さんが選んだのはベートーヴェンの2曲。コロナ禍とウクライナ侵攻の現況が1日も早く収束するよう願いを込めてと語った吉村さんの演奏が印象的でした。

アンコールは、チャイコフスキーのくるみ割り人形を3人で連弾し、拍手喝采でした。

この音楽会は、昨年企画されましたがCOVID-19による緊急事態宣言で中止。今回は、まん延防止措置が解除されたとはいえ、まだまだ安心できない状況なので、観客が十数人でも入ってくれれば…とのことでしたが、当日は140席のCボックスが満席でした。

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2022/01/30

ゴッホ展@福岡市美術館

福岡市美術館で開催中の「ゴッホ展」に行ってきました。

20220130オランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)は、南部の村ズンデルトの牧師の家に生まれました。聖職者を目指しますが、27歳のとき、画家になろうと決意。身近な農夫や田園風景を素材に素描(デッサン)を学び、ルノワールなど印象派の技法を研究しました。

32歳でパリに出ますが、自らの作風を時代遅れと感じ、スーラなど新印象派の点描技法を取り入れて、それまでの暗い色調から明るい作風に転向。

34歳のとき、南仏アルルで芸術家の共同体を夢見て、ゴーギャンとの共同生活に入ったものの2か月で決裂。自ら左耳を剃り落とす奇行でアルル近郊サン・レミの療養所に収容されます。

晩年は、精神状態が不安定だったようで、パリ郊外の農村オーヴェルで自ら銃で胸を撃ち亡くなりました(享年37歳)。

今回の展覧会は、早くからゴッホの才能に着目し、幅広くその作品を収集したヘレーネ・クレラー・ミュラー女史(1869-1939)によるクレラー・ミュラー美術館とフィンセント・ファン・ゴッホ財団によるファン・ゴッホ美術館のコレクションから52点を展示しています。

ゴッホの初期の素描画(デッサン)や習作、明るい作風に転じたパリ時代の作品、アルル時代の「黄色い家」(1888)、晩年の糸杉シリーズの一つ「夜のプロヴァンスの田舎道」(1890)など、時代ごとに変化する作品を通じて、画家の精神的な内面をも感じることができる構成になっています。

この展覧会は、東京・福岡・名古屋の巡回展で、福岡市美術館では2月13日(日)まで開催中です。

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2021/11/23

「九州洋画Ⅱ・大地の力」展

久留米市美術館で開催中の「九州洋画Ⅱ・大地の力」展に行ってきました。

20211123a開館5周年記念で、九州ゆかりの洋画家の作品78点を集め、「九州」の土壌に育まれた彼らに通底するものを探る企画展です。

展示は「プロローグ」「神話の世界-イメージの撹拌」「選択的土着-ここで描く」「手ざわりの視覚化-煙と土と働く手」「やまのある風景-記憶の遺産」「時空をこえて-物語はつながる」の6部構成です。

九州出身の洋画家ということで、アーティゾン美術館(東京)から黒田清輝、藤島武二の作品が来ているほか、久留米出身の青木繁、坂本繫二郎、古賀春江の作品が里帰りしています。

展示作品を通じて、古くから多彩な文化が交錯した「九州」の風土が画家の感性に大きな影響を与えたことがよく分かります。その根底にあったのは土の手触りや生きることの実感を描き続けるエネルギーだと感じました。

久留米市美術館は、旧石橋美術館(1956-2016)から移行した美術館です。もとは久留米でブリヂストンを創業した石橋正二郎氏が、坂本繁二郎の依頼で夭折した青木繁の作品を収集し、次いで坂本繁二郎など九州の洋画家の作品を収集したのが始まりです。現在、石橋コレクションはすべてアーティゾン美術館に移っており、地元で見る機会が少ないのが残念です。

この展覧会は、12月12日(日)まで開催しています。

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2021/09/04

「筑後ノ国32万5千石初代国主 田中吉政」展

八女市伝統工芸館(福岡県八女市)で開催中の「筑後ノ国32万5千石初代国主 田中吉政」展に行ってきました。

20210904田中吉政(1548-1609)は、近江出身の戦国武将です。豊臣家に仕え、近江八幡四十三万石の豊臣秀次(秀吉の甥)の筆頭家老として、城下と琵琶湖を結ぶ八幡堀を開削するなど、商人町の隆興に尽力しました。

秀吉の小田原征伐では、秀次軍を率いて出兵。論功で三河岡崎五万七千四百石の国持ち大名となり、堀割や河川の築堤、東海道が城下町を通るよう付け替えるなど普請に手腕を振るいました。

秀吉亡き後は徳川家康に従い、関ヶ原の合戦は東軍で参戦。敗走する石田三成を伊吹山中で捕縛した功績で、筑後柳河三十二万五千石の大々名となりました。

吉政は、柳河城を拠点に、久留米や八女福島など十支城とこれを結ぶ街道を整備。得意の土木普請で矢部川の治水・柳河城下の掘割、有明海沿岸の干拓を行い、新田開発を奨励しました。

筑後柳河藩は、二代忠政のとき無嗣断絶により改易(1620)。北部が久留米藩(有馬氏)二十一万石、南部が柳川藩(立花氏)十一万石と三池藩(立花氏)一万石に三分割されました。

今回の企画は、吉政が手掛けた各地の普請や吉政関連資料をパネルで紹介。併せて、八女福島城の模型や天守閣の鯱を展示しています。有馬氏入城以前の久留米城主に関する資料は少ないので、参考になりました。

この企画展は、9月12日(日)まで開催中です。

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2021/06/27

企画展「久留米藩主有馬家歴代」

有馬記念館(久留米市)で開催中の企画展「久留米藩主有馬家歴代」に行ってきました。

20210627久留米入城四百年の記念企画で、江戸期、250年にわたり久留米藩二十一万石を治めた有馬家の歴代藩主11人にスポットを当てています。

展示は、「久留米藩の幕開け」(藩祖~二代)、「藩政確立から学問・芸術文化の隆盛」(三~九代)、「幕末維新期」(十~十一代)に分けて、有馬家や社寺、市が所蔵する肖像画や書状、鎧兜など31点を紹介。

室町期、摂津有馬を治めた有馬本家は、織田信長に攻められ断絶。有馬分家は豊臣秀吉に臣従し、九州征伐に従軍。関ヶ原、大坂の陣では徳川方で参戦し、その功により、元和六年(1620)、久留米藩二十一万石を拝領しました。

関ヶ原を戦った藩祖・則頼と初代・豊氏、暴君とされる二代・忠頼、一度も久留米入りすることなく江戸藩邸で急逝した五代・頼旨、養嗣子として家を継いだが華美を好んだ六代・則維、和算の大家だった七代・頼徸、犬好き・相撲好きで藩財政がひっ迫した八代・頼貴、江戸藩邸に水天宮を分祀した九代・頼徳、質素倹約と軍制近代化で名君の誉れ高い十代・頼永、最後の藩主で公儀からの縁組に莫大な費用を要した十一代・頼咸と、それぞれの人となりが分かり、親しみを感じさせる内容になっています。

個人的には、久留米城下の整備に初代~四代まで70年を要したことや、歴代有馬家の兜の前立て(獅子飾り)に興味を惹かれました(写真は公式チラシから引用)。

この企画展は、福岡県の緊急事態宣言解除に伴い6月21日から再開され、8月2日(月)まで開催しています。

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