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2022/10/15

特別展「ポンペイ」

九州国立博物館で開催中の特別展「ポンペイ」に行ってきました。

20221015ポンペイは、古代ローマの植民市で、貴族~奴隷まで老若男女1万2000人が暮らす港湾商都でした。

紀元79年、ベスビオ火山の大噴火で一夜にして火山灰に埋もれて消滅。1748年に発見されるまで、完全に地中に封印されていました。

今回の特別展は、ナポリ国立考古博物館が所蔵する出土品をメインに、日本初公開を含む約120点の出土品を展示しています。

展示は、「序章 ベスビオ山噴火とポンペイ埋没」「1 ポンペイの街~公共建築と宗教」「2 ポンペイの社会と人々の活躍」「3 人々の暮らし~職と仕事」「4 ポンペイ繁栄の歴史」「5 発掘のいま、むかし」の5テーマに分けて紹介。

個人的には、女性犠牲者の石膏像は衝撃でした(ポンペイの犠牲者は2000人、その多くが邸内に避難した富裕層だそうです)。

邸宅の壁を飾ったフレスコ画、床を飾ったモザイク画の精巧さに驚嘆し、炭化したパンに庶民の日常を想い、剣闘士が使った兜や膝当てに円形劇場の熱狂が伝わりました。

古代ローマの都市の繁栄と人々の暮らしが生き生きと蘇る好企画です。

この特別展は、東京→京都→宮城と巡回して、九州が最後。九州展は12月4日(日)まで開催中です。

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2022/10/09

長崎・ながさき大くんち展

出島メッセ長崎で開催された「ながさき大くんち展」に行ってきました。

20221009d長崎くんちは、諏訪神社の秋季大祭に、当番の各踊町が神前で「演し物」(だしもの)を奉納する「奉納踊り」で知られ、国重要無形民俗文化財です。

もとは寛永十一年(1634)に二人の遊女が神前で小舞を奉納したのが始まりとされます。

「奉納踊り」は毎年10月7日から三日間行われますが、今年はコロナ禍で3年連続の中止。代わりに「大くんち展」が開催されました。

全43踊町から傘鉾、曳き物、担ぎ物などが一堂に集まるのは今回が初。会場に入ると8町の傘鉾が迎えます。先に進むと獅子踊を持つ2町の獅子が狛犬のイメージで左右に配され、6町の川船が追込み漁を展開しています。

圧巻は龍踊(じゃおどり)の展示。2町の竜宮船と龍船に囲まれ、龍踊を持つ4町の龍(じゃ)が大迫力で迎えます。その先には3町の担ぎ物(コッコデショ、鯱太鼓)、さらに13町の船型屋台・壇尻・鯨山車が絢爛豪華に並びます。

踊町は七組(6~7町ずつ)に分かれているので、地元の人でも全ての演し物を見るには7年かかるとか。それを一度に見ることができる滅多ない機会とあって、場内は大勢の人で満員御礼。

実演では、シャギリ、長崎検番、鯱太鼓(銀屋町)、龍踊(筑後町や五嶋町)が披露されました。演技のたび、地元の皆さんから「ヨイヤー」(いいぞー!)、「ショモーヤーレ」(もう一度!)、「モッテコーイ」(アンコール!)の掛け声が溢れ、踊馬場さながらの雰囲気で盛り上がりました。

帰りは、老舗で長崎ちゃんぽんを味わい、西九州新幹線かもめ→リレー特急かもめを利用しました。

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2022/10/03

福岡・鴻臚館跡

福岡市中央区の鴻臚館(こうろかん)跡展示館を訪ねました。

20221003鴻臚館は、平安期に存在した迎賓館です。京・難波・筑紫の3か所に置かれたとされますが、遺跡が確認されたのは筑紫のみです。

筑紫には、飛鳥~奈良期(7世紀後半)、朝廷の外交拠点「筑紫館」(つくしのむろつみ)が置かれていました。688年に筑紫館で新羅使を接遇した記録が残っており、唐・新羅の使節の受入れや、遣唐使や留学生が出発する施設として使われました。

平安期に拡張されて「鴻臚館」になり、838年に大宰の「鴻臚館」で唐の人と詩を詠んだ記録が残っています。この頃は、唐や新羅が衰退して外国使節の来訪が途絶え、やがて遣唐使も廃止されます。代わって帰国留学生や外国商人の接遇の記録が多くなり、外交施設から商客宿坊に役割が変わったようです。1047年に放火された記録を最後に、「鴻臚館」は歴史の舞台から忽然と姿を消しました。

謎が多い鴻臚館ですが、旧平和台球場跡から見つかった筑紫の鴻臚館は、遺構の一部が公開されています。復元建物のほか、中国や朝鮮半島の陶器片や中東のペルシャガラス片、便所遺構から発見された籌木(ちゅうぎ)などを展示して、1200年の時空を超えて往時の繁栄を今に伝えています。

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2022/10/02

「鳥獣戯画と愛らしき日本の美術」展

福岡市美術館で開催中の「国宝鳥獣戯画と愛らしき日本の美術」展に行ってきました。

20221002鳥獣戯画は、京都・高山寺に伝わる四巻(甲・乙・丙・丁)の絵巻物です。

甲巻は擬人化した動物が、乙巻は実在と空想の動物が、丙巻は人物と擬人化した動物が、丁巻は人物のみが描かれています。甲・乙巻は平安後期の、丙・丁巻は鎌倉初期の作と考えられていますが、誰が何のために描いたのかは不明だそうです。

今回の展覧会は、鳥獣戯画に連なる「動物」と「簡潔な表現とユーモア」を描いた作品がテーマです。「1章 祈りにはぐくまれしいのち」「2章 いのちへのまなざし」「3章 引き算の美」「4章 心を伝える」の4部構成で64点を展示しています。

訪れた日は後期展示(9/27~)で、鳥獣戯画の乙巻と丙巻が展示されていました。10m前後の長い巻物ですが、解説と対比して楽しく見学できました。江戸期に描かれた戯図巻や略画式も、笑える内容で面白かったです。

次はぜひ鳥獣戯画の甲巻と丁巻も見てみたい…と思いました。この展覧会は、福岡市美術館で10月16日(日)まで開催中です。

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