来訪神・仮面仮装の神々の現在~東北・北陸地方を中心に
国立歴史民俗博物館で行われた映画の会「世界無形文化遺産 来訪神・仮面仮装の神々の現在~東北・北陸地方を中心に~」に行ってきました。
今回は、歴博研究部民俗研究系の川村清志氏が撮影・編集した「来訪神の今ーナマハゲ・アマメハギ・スネカ」(2020)の上映と解説でした。
ナマハゲ(秋田・男鹿半島)は、大晦日の夜、異形の仮面を付けて家々を廻り、怠け者の行状を諫めます。
アマメハギ(石川・能登半島)は、天狗・ガチャ(角のない鬼)2人・猿の4人で家々を廻り、ノミと槌を打ち鳴らして暴れ、家人の行状を諫めます。
スネカ(岩手・大船渡地方)は、異形の仮面に蓑をまとい、包丁を持って数人で家々を廻り、家人の行状を諫めますが、現在は中学生が扮して行われています。
いずれも家々の繁栄と豊穣を祈る来訪神で、家人を諫める過程で子供を威すのは郷中教育の一種です。しかし、民俗芸能は、世界無形文化遺産登録などで地域外にも知られるようになると、地元の想いとは無関係に、メディアの要望や海外からの誤解など様々な外的要因の影響を受けて芸能が変容する現実があり、東北・北陸地方の芸能もその局面にあるようです。他方、変容を避けるため外の影響を厳しく遮断(撮影・録音・メモ取りを禁止)して文化財化を拒むアカマタクロマタ(沖縄・八重山諸島)の例も紹介され、民俗行事の伝承と記録・公開の在り方(資源化)について深く考えさせられました。
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