インドの仏(ほとけ)展
妻と一緒に、上野・東京国立博物館で開催中の「インドの仏~仏教美術の源流」展に行ってきました。
この特別展は、コルカタ・インド博物館のアジア巡回展で、日印の文化交流イベント「Festival of India in Japan 2014-2015」の企画の一つとして開催されています。
古代インド仏教美術のコレクションを、「仏像誕生以前」「釈迦の生涯」「仏の姿」「さまざまな菩薩と神」「ストゥーパと仏」「密教の世界」「経典の世界」の7つのテーマに分けて紹介しています。
日本に仏教が伝わったのは6世紀ころ。仏像や経典も同時に伝わったので仏教=仏像のイメージです。なので「もともと仏教に仏像は存在しなかった」と聞き、仏像誕生の謎に興味がありました。
古代インドでは、釈迦の入滅(紀元前5世紀ころ)後、仏舎利塔(ストゥーパ)礼拝が普通でした。塔の石板には法輪や菩提樹が刻まれ、やがて紀元前2世紀ころには、平面彫刻から立体的で精巧な浮彫彫刻へと発展します。
1~3世紀ころになると、西北のガンダーラと北部のマトゥラーで、釈迦の彫像が作られるようになりました。ガンダーラではギリシャ・ローマの神像の、マトゥラーでは現地神信仰(バラモン教、ヒンドゥー教など)の影響を受けたと考えられています。様々な彫像=仏像が作られ、やがて像そのものが礼拝の対象となり、同時に祈願文を唱えるようになりました。
つまり、釈迦が滅した後、500年以上は仏像も経典もなかったことになります。
展示総数は91点で、仏像誕生の謎や神仏の融合、密教台頭と仏教の衰退など、日本に伝わる以前のインド仏教の流れがよく分かる構成になっています。日本にいながら2000年前の古代インド仏教美術の至宝を一度に見られる貴重な機会です。
今回も金曜の夜間開館を利用しましたが、人が少なく、音声ガイドを聴きながら、間近でじっくり見ることができて大満足でした。ハードカバーの立派な展示図録も内容が濃くてお勧めです。
インドの仏展は、3月17日~5月17日まで開催中です。
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