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2015/01/12

京都・冬の特別拝観2015(洛東編)

洛中から洛東の東福寺へ移動。

20150111f東福寺(臨済宗東福寺派)では、特別公開中の龍吟庵を見学。
塔頭(たっちゅう)寺院の筆頭で、木造の偃月橋を渡ると、趣あるこけら葺きの方丈(国宝)が見えてきます。
室町初期の建築で、応仁の乱(1566-76)でも焼けることなく、方丈としては現存最古。寝殿造(外)と書院造(内)の折衷で、建築様式が変遷する過渡期の特徴をよく残しています。室中の間(中央)に掲げられた「龍吟庵」の額は、足利義満の直筆。
方丈を囲む3つの庭は、白砂の「無の庭」、雲間から昇天する龍を表した「龍の庭」、鞍馬の赤石を敷き詰めた「不離の庭」で、昭和の作庭家・重森三玲の作品です。
小さな庵ですが、桃山期の庫裏や表門(いずれも国重文)も残り、見応えがありました。

20150111g頂妙寺(日蓮宗)では、本堂、仁王門(いずれも通年公開)を見た後、特別公開の俵屋宗達筆「紙本墨画牛図」(国重文)、「京都十六本山会合文書箱」などの寺宝を見学。
「牛図」は、立牛と臥牛の双幅で、普段は京都国立博物館にありますが、期間を変えて一幅ずつを展示中。下地が乾かないうちに次の色を落とす「墨のたらしこみ」という技法で描かれています。今回見学したのは立牛の方でしたが、墨の濃淡に宗達の筆使いが伝わってくるようでした。
「京都十六本山会合文書箱」は、複雑な構造で落とし蓋の底に文書を隠した文箱。織田信長から禁教とされた苦労が偲ばれます。
境内の墓地には俵屋宗達のものと伝わる墓がありました。

20150111h次の建仁寺(臨済宗建仁寺派)では、特別公開中の霊源院へ。塔頭寺院の一つで、五山文学の最高峰。70年ぶりに京都国立博物館から里帰りした「中巌円月坐像」(国重文)、「毘沙門天立像」と茶室を見学。
「中巌円月坐像」は、南北朝期の肖像彫刻の傑作。その胎内から発見された「毘沙門天立像」は、鎌倉期の慶派仏師の作。高さ37.5cmと小さいながらも精巧な細工で、左手の水晶玉には伝教大師最澄が持ち帰った仏舎利を納めています。
方丈の二つの茶室「也足軒」と「妙喜庵」も見学しましたが、初の特別公開だけに、小さな方丈は大勢の人で身動きが取れず、早々に退散。

20150111i最後は、六道珍皇寺(臨済宗建仁寺派)です。洛の内と外の境界に位置するので、古くから「あの世とこの世の境」(六道の辻)とされてきました。
特別公開の「薬師如来坐像」(国重文)、「閻魔大王像」、「小野篁像」、「毘沙門天像」、「熊野観心十界図」などの寺宝と冥界へ通じる井戸を見学。
平安期の公卿・小野篁は、百人一首にも登場する実在の人物ですが、昼は朝廷で嵯峨天皇に仕え、夜は冥界で閻魔大王に仕えたという奇怪な伝説があります。庭の一角に、冥界へ行く「冥土通いの井戸」と、この世に戻る「黄泉がえりの井戸」が残っています。
「熊野観心十界図」は、冥界の六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天界)を描いた地獄絵です。どの道に生まれ変わるかは生前の行状で決まるので、我が身を振り返って反省させられました。

今回の京都・冬の特別拝観では、九寺四院を巡りました。
一泊二日のツアーでしたが、シーズンオフとはいえ、拝観券売場の行列や駐車場待ちの渋滞を考えると、個人で廻るより効率的だと思いました(新幹線+観光バスで楽ちんですし)。
旅の機材はRICHO GRでした。28mmだけで撮り歩くのは不便ですが、あれこれ工夫して撮るので面白かったです。

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