エディンバラ城
巨大な溶岩(キャッスル・ロック)にそびえるエディンバラ城は、街のシンボルでどこからでもよく見えます。
もとは600年ころ、アングロサクソンとの戦いで要塞が置かれ、12~15世紀は歴代スコットランド王朝の居城でした。イングランドの脅威が去った17世紀以降は、スコットランド軍の駐屯地として使われました。
この城は、ハリーポッターに登場するホグワーツ魔法学校のモデルと囁かれましたが(作者は否定)、確かにそんな雰囲気があります。
城内には、中世の王宮時代の建物と、17世紀以降の駐屯地時代の建物が混在しています。
聖マーガレット礼拝堂(左の写真)は、エディンバラに現存する最古の建物です。
1130年ころ、スコットランド国王デビットⅠ世が王室の礼拝所として建築し、亡き母マーガレット王后に捧げました。
16世紀ころから火薬庫として使われ、1845年に元の礼拝堂に復元。ステンドグラスは1922年に追加されたものですが、模様が施された内陣のアーチは建築当時のものです。
小さいながら清楚で素朴な礼拝堂で、現在も洗礼や婚礼で使われています。
ロイヤルパレス(右の写真)は、1430年代に建てられたかつての王宮殿です。
この王宮殿の小部屋で、1566年、メアリー女王が難産の末に男児(後のジェームズⅥ世)を出産しました。そのジェームズⅥ世が、後にイングランド王位を継承し、スコットランドとイングランドの連合が成ったので、スコットランドにとっては歴史的な意味を持つ場所です。
王宮殿のクラウンルームには、歴代国王の戴冠式で使われた三種の神器(王冠、剣、笏)の実物や、即位する王が座った「運命の石」が厚いガラスケースで厳重に公開展示されています(撮影禁止なので写真はなし)。
グレートホール(左の写真)は、王に謁見する儀典場として、1511年、ジェームズⅣ世が建築しました。
そのジェームズⅣ世は、2年後にイングランドとの戦いで戦死してしまい…。ほとんど使われることなく、1650年以降は兵舎となっていました。
現在の内装は1886年の復元ですが、ハンマービーム工法の壮麗な天井は建築当時のもの。英国に現存する中世のハンマービーム工法としては最古の建築と云われています。
最後はフォアウォール砲台から見た市街地の眺めです(右の写真)。尖塔はスコット・モニュメント、遠方にフォース湾が見えています。
この砲台は、対イングランド戦で落城と奪還を繰り返していた1540年代に築かれました。並んでいるカノン砲は当時のものではなく、19世紀初めの仏ナポレオン軍との戦いの際に鋳造されたものです。
他にハーフムーン砲台(1690年代)とアーガイル砲台(1730年代)がありますが、こちらは反乱軍との攻防で築かれたものです。
エディンバラ城は見どころが多く、見学に2時間くらいかかります。午後1時に発射されるワン・オクロック・ガン(時報の大砲)を聞いて城を出ました。
次は、ロイヤル・マイルを歩きます。
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